多層配線の主役である銅配線は、微細化とともに電気抵抗が増加する。特に配線ピッチで40nm以降では、微細化とともに電気抵抗が急激に増える。ここで電気抵抗の増大を抑える手法の1つが、低抵抗の材料によって配線の上面をカバーすることだ。このカバー層は「キャップ層(Cap Layer)」と呼ばれる。
電気抵抗の低減を目的としたキャップ層の有力候補は、2次元材料(2D Materials)と呼ばれる低抵抗導電材料である。その代表はグラフェンと遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD:Transition Metal Dichalcogenides)であり、いずれも理論的な電気抵抗は極めて低い。
講演では、45nmピッチの銅配線にグラフェンのキャップ層を設けることで、配線抵抗が約15%減少することを示していた。なお、量産中の高性能プロセッサに採用しているかどうかは不明だ。グラフェンは成膜方法に課題があるので、研究段階の要素技術である可能性が高い。
(次回に続く)
⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.