パナソニック インダストリアルソリューションズ社は、低損失磁性材料を用いた面実装タイプの車載用パワーチョークコイル(直噴エンジン駆動回路用コイル)を開発、2021年2月より量産を始める。従来製品に比べ損失電力を半減し、耐圧を2倍とした。
パナソニック インダストリアルソリューションズ社は2020年12月、低損失磁性材料を用いた面実装タイプの車載用パワーチョークコイル(直噴エンジン駆動回路用コイル)を開発、2021年2月より量産を始めると発表した。従来製品に比べ損失電力を半減し、耐圧を2倍とした。
ガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車など内燃機関(エンジン)を搭載した車両では、完全燃焼による排ガス特性の向上を目指している。このため、燃料を高圧でシリンダー内に直接噴射する直噴エンジンが注目されている。
完全燃焼に向けては、インジェクター(燃料供給装置)の高圧化や多段噴射化、リーンバーン制御といった対策が行われている。このため、インジェクター昇圧用コイルにも、損失が小さく高耐圧といった特性が要求されているが、これまでは十分に対応しきれていなかったという。もちろん、車載用途として厳しい振動条件や高温動作、大電流への対応などもクリアする必要がある。
そこで今回、独自の金属磁性材料を用いたメタルコンポジット材料をベースに大電流、低損失で高耐圧の磁性材料を新たに開発した。この材料を用いた車載用パワーチョークコイルは、損失電力を1.5Wに抑え、同社従来製品の半分とした。耐圧は125V以下で従来製品の2倍にまで高めた。
新製品はインダクタンスが40μH、直流抵抗は41.0mΩ(20℃)、定格電流は5.9Aである。外形寸法は12.5×12.5×8.0mmと小さく、同社従来製品に比べて体積を40%も削減した。また、独自の巻き線技術と成型技術によって、端子の引き出し位置を従来の半分の高さとし、実装基板に近づけたことで30G以下の耐震性を実現した。このため、従来のような接着剤による振動補強は不要となり、実装工程を合理化できるという。
同社は今後、形状やインダクタンス、直流抵抗、定格電流などが異なる製品をシリーズ化していく予定である。
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