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“天才設計者”Jim Keller氏がAI新興企業のCTOにAMDやIntelを渡り歩いた

著名なチップ設計者アーキテクトのJim Keller氏が、カナダのAI(人工知能)チップ新興企業Tenstorrentに社長兼CTO(最高技術責任者)として入社した。Tenstorrentの取締役会にも加わる予定だ。Keller氏は、過去にAMD、Intel、Tesla、Appleなどに勤務したことがあり、長いキャリアの中で多くの実績を残している。

» 2021年01月13日 09時30分 公開
[Sally Ward-FoxtonEE Times]

 著名なチップ設計者アーキテクトのJim Keller氏が、カナダのAI(人工知能)チップ新興企業Tenstorrentに社長兼CTO(最高技術責任者)として入社した。Tenstorrentの取締役会にも加わる予定だ。Keller氏は、過去にAMD、Intel、Tesla、Appleなどに勤務したことがあり、長いキャリアの中で多くの実績を残している。

 トロントに拠点を置くTenstorrentは、データセンター向けのAIアクセラレータチップを開発している。同社は2020年4月、データセンター向け推論プロセッサ「Grayskull」を発表した。120コアのプロセッサで、演算性能は368TOPS。消費電力は65Wだという。Grayskullは推論向けだが、2021年後半にはトレーニング可能なチップ「Wormhole」の発表も予定されている。

輝かしいキャリア

Jim Keller氏

 2020年6月までKeller氏は、Intelのシリコンエンジニアリンググループでシニアバイスプレジデントを務めていた。それ以前は、Teslaのオートパイロットおよび低電圧ハードウェア担当バイスプレジデントとして、完全な自動運転車向けのチップの開発に携わっていた。

 さらにその前には、AMDのCPUマイクロアーキテクチャ「Zen」の設計チームを率いて、AMDの黒字化に貢献している。実はこの時、AMDにとってKeller氏は“2度目の在籍”だった。1度目は1990年代で、「Athlon(K7)」「Athlon 64(K8)」などの開発に従事していた。

 Appleでは、「A4」〜「A7」など数世代のモバイル向けプロセッサを設計している。もともとKeller氏はAMDの1度目の在籍の後、P.A.Semiにて「PowerPC」プロセッサの開発チームを率いていたが、AppleがP.A.Semiを買収したため、Appleに移籍することになったのだ。

 また、x86-64命令セットと、AMDが提唱したインターコネクト技術「HyperTransport」の開発にも尽力した。

ソフトウェア 2.0

 TenstorrentsでKeller氏は、同社が“ソフトウェア 2.0”と呼ぶ、従来のソフトウェアから機械学習アプローチへ移行する取り組みを主導する。

 Keller氏は、Tenstorrentsのプレスリリースで、「ソフトウェア 2.0は、長期にわたるコンピューティングイノベーションにおいて、最大のチャンスだ。勝利するためには、演算と低レベルソフトウェアを包括的に考え直す必要がある」と述べている。「Tenstorrentは目覚ましい進歩を遂げており、最も有望なアーキテクチャにより、“次世代のコンピューティングの巨人”となる準備が整っている」(Keller氏)

【翻訳、編集:EE Times Japan】

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