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作り手の“腕の見せ所”、「Apple Silicon M1」の層数を解析するこの10年で起こったこと、次の10年で起こること(50)(4/4 ページ)

» 2021年03月04日 11時30分 公開
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SnapdragonおよびExynosと比較する

 図5は、上記のSnapdragon 888やExynos 1080の前身(2020年の最上位)となる「Snapdragon 865」(7nmプロセス)、「Exynos 990」(7nmプロセス)のパッケージ、シリコンの接続関係とApple A14 BIONIC(5nmプロセス)との比較である。

図5:Apple A14 BIONIC、「Snapdragon 865」および「Exynos 990」の比較 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 Appleは2017年の「Apple A11 BIONIC」からInFOという構造を用いており、パッケージの配線層数が少ないものになっている。一方、QualcommやSamsungはPOP(Package On Package)という実装方式を用いており、層数が若干多い構造となっている。どちらが良いというわけではなく、こうした2方式が現在並行して先端を走っている。

 配線層数が少ないという点ではAppleが用いる方式の方が、トータルの配線容量やコストを削減できる可能性は高い。一方でPOP方式では、DRAMのみを付け替えればさまざまなサプライヤーのメモリでの製品展開が容易となる。またDRAMの容量(2G、4G、8G)の展開も容易にできるものとなっている。

 ともに一長一短があるのだ。

 図6は、2020年にSamsungが発売したフラグシップスマートフォン「Galaxy S20 Ultra」のカメラユニットの断面解析の様子(一部)である。

図6:「Galaxy S20 Ultra」のカメラユニットの断面解析の様子(一部) 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 1億800万画素のワイドカメラのレンズ構成やCMOSイメージセンサー、望遠カメラなどが断面解析によって明確になっている。チップだけでなく配線構造、レンズ構成なども、弊社では続々と解析し構造を明らかにし、毎週情報をテカナリエレポートで発信している。

 今後も平面解析、断面解析を行い、構造を明確にしていく。


執筆:株式会社テカナリエ

 “Technology” “analyze” “everything“を組み合わせた造語を会社名とする。あらゆるものを分解してシステム構造やトレンドなどを解説するテカナリエレポートを毎週2レポート発行する。会社メンバーは長年にわたる半導体の開発・設計を経験に持ち、マーケット活動なども豊富。チップの解説から設計コンサルタントまでを行う。

 百聞は一見にしかずをモットーに年間300製品を分解、データに基づいた市場理解を推し進めている。


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