FacebookとMarvell Technology Group(以下、Marvell)は、Open RANに基づく5G(第5世代移動通信)ネットワーク向け機器の開発で連携する。Open RANの狙いは、世界のより多くの人々をさらに低いコストでつなぐことである。
FacebookとMarvell Technology Group(以下、Marvell)は、Open RANに基づく5G(第5世代移動通信)ネットワーク向け機器の開発で連携する。Open RANの狙いは、世界のより多くの人々をさらに低いコストでつなぐことである。
Open RANを用いれば、オープンインタフェースと標準規格をベースに、異なるベンダーのハードウェア/ソフトウェアの導入が可能になる。MarvellはFacebook Connectivityの「Evenstar Program」に参加して、4G/5Gに対応するOpen RAN向けのDU(Distributed Unit/リモート局)を提供することになる。このDUは、Marvellのベースバンドプロセッサ「Octeon Fusion」およびArmベースのマルチコアDPU(Digital Processing Unit)を搭載している。
欧米の5GサービスプロバイダーがHuawei製の通信機器の採用をめぐり揺れる中、Marvellは、特定の通信機器メーカーだけに依存することがないような分散型の無線基地局の構想の一環として、Open RANを導入する企業が増えることを期待している。ドナルド・トランプ前米大統領がHuaweiの5G機器を「国家の安全を脅かすもの」に指定した後、ネットワークプロバイダーは代替機器を検証し始めた。
Marvellのインフラストラクチャプロセッサ事業部門でプロダクトマーケティング担当シニアディレクターを務めるJohn Schimpf氏は、米国EE Timesによるインタビューの中で「欧州各国の政府は、代替手段の検討に資金を投入している」と語った。
米国政府は、4G機器に統合されたHuawei製の5G機器を部分的に導入している地方の通信事業者に対し、(5G機器の)総入れ替えを義務化する計画だ。Open RANはHuawei製の4G機器を排除し、(Huawei以外の)5G機器で置き換えるための有力なネットワーク候補であるとSchimpf氏は述べた。
Marvellは2021年、世界中で約170万〜180万台のDUが導入されると見込んでいる。同社によると、今後3年から5年のうちに、新たに導入されたDUのうち1割がOpen RANベースになるとみている。
Marvellによると、Evenstar Programを展開するFacebook Connectivityのようなイニシアチブは、無線ネットワークを“民主化”し始めることで、ネットワークの一部分を変革するためのより多くの選択や自由を実現するという。
Evenstar Programでは、より高価なFPGAを標準的なプロセッサで置き換えることで、全体的な運営コストを削減できるとSchimpf氏は述べた。Facebookは半導体サプライヤーやインテグレーター、ソフトウェアベンダーを結び付けることで、この動きがより包括的かつ迅速に起こるよう促している。
Facebook Connectivityでワイヤレスエンジニアリング担当ディレクタを務めるJaydeep Ranade氏は、報道発表資料の中で「われわれは、MarvellがEvenstar ProgramにDUを提供することを喜んで歓迎する」と述べた。
Marvellは完全に統合されたDUレファレンスボードを提供する。Octeon Fusionは4G/5GのPHY層の処理を、ArmベースのDPUはソフトウェアの処理を担う。Facebook ConnectivityはMarvellと協力し、同ソリューションのソフトウェア運用を行うとともに、複数のサードパーティーにプロトコルスタックソフトウェアを移植する取り組みも推進する。MarvellのDUは、最大16のダウンリンクをサポートし、下りは10Gビット/秒(bps)、上りは5Gbpsの性能を実現する。
通信事業者は、同DUの検証を2022年にも開始できる予定だ。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.