主要な半導体企業のCEOが米国バイデン大統領に対して半導体製造/研究に対する財政的支援を優先するよう強く求める書簡に署名したことを受け、ホワイトハウス報道官のJen Psaki氏は、2021年2月8日の週に行われた記者会見の中で、半導体業界は数週間以内に大統領命令への署名を見込めるはずだと述べた。
主要な半導体企業のCEOが米国バイデン大統領に対して半導体製造/研究に対する財政的支援を優先するよう強く求める書簡に署名したことを受け、ホワイトハウス報道官のJen Psaki氏は、2021年2月8日の週に行われた記者会見の中で、半導体業界は数週間以内に大統領命令への署名を見込めるはずだと述べた。
米国半導体工業会(SIA: Semiconductor Industry Association)の理事と主要な半導体企業のCEOならびに重役らは、連邦政府の経済再生およびインフラ計画の中に半導体製造/研究に対する多額の財政的支援を含めるよう要請する書簡を大統領に送った。
書簡では、米国の半導体業界を取り巻く状況が説明されている。米国が世界半導体製造能力で占める割合は1990年には37%であったのに対し、現在では12%に減少しているという。書簡では「減少した主な原因は、海外の競合先が自国の政府から多大な助成金を得ていることである。海外の競合先によって、米国は新たな製造施設の誘致競争で不利な立場に置かれるようになった。さらに、半導体研究に対する連邦政府投資は横ばいが続いているが、諸外国政府は自国の半導体能力を強化するための研究構想に多額の投資を行っている」と述べられている。
SIAの書簡はバイデン大統領に対し、米国の技術的優位性を回復させ、新政権が「Build Back Better(対訳:より良い再建を)」というスローガンと共に掲げた目標を達成するために、半導体投資を優先するよう強く求めている。CEOが書簡に署名した企業/組織は、AMD、Analog Devices(ADI)、Cree、GLOBALFOUNDRIES、Intel、Lattice Semiconductor、Marvell Semiconductor、Maxim、Micron Technology、ON Semiconductor、Qorvo、Qualcomm、Silicon Labs、Skyworks、Texas Instruments(TI)、Western Digital、Xilinx、SIAで、Broadcom、IBM、NVIDIAは重役らが同書簡に署名している。
SIAのプレジデント兼CEOであるJohn Neuffer氏は「ヘルスケア、通信、クリーンエネルギー、コンピューティング、輸送をはじめとする無数の領域にわたり、基幹技術の進歩を後押しするのが半導体である。また、半導体が実現する技術によって、われわれはパンデミックにおいても生産性とネットワークを維持してきた。国内の半導体製造に対する助成金と研究構想に大胆な投資を行うことで、大統領と連邦議会は米国経済と雇用創出を再活性化できる上に、国家安全ならびに半導体のサプライチェーンを強化することができる。さらに、米国は今日そして未来の革新的な技術におけるリーダーシップを維持できるようになる」と述べた。
連邦議会は2021年度の国防権限法案(NDAA:National Defense Authorization Act)に含まれた「CHIPS for America Act*)」を成立させた。そのことから、連邦議会は米国の半導体業界が同国の未来において重要な役割を担っていることを認めているといえる。現在、SIAは連邦政府と議会に対し、NDAAによって承認された全ての条項に対して資金提供を行い、それらを実現するよう求めている。
*)「CHIPS(Creating Helpful Incentives to Produce Semiconductors) for America」は、2020年6月に米国の超党派議員グループが提出した法案。
2021年2月11日(米国時間)にホワイトハウスで行われたプレスブリーフィングでPsaki氏は、「われわれは現在、サプライチェーンにおける潜在的な“チョークポイント”(戦略上、重要となる海上水路)の特定を進めており、関係者や貿易パートナーとともに、積極的な取り組みを行っている」と述べた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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