三井化学とKOALA、OSLD向け有機色素を共同で開発:近赤外域で高効率の発振を可能に
三井化学は、KOALA Techと有機半導体レーザーデバイス向け有機色素の共同研究を始める。生体認証などの用途でスマートフォンやウェアラブル機器への実装を目指す。
三井化学は2021年3月、KOALA Techと有機半導体レーザーデバイス向け有機色素の共同研究を始めると発表した。生体認証などの用途でスマートフォンやウェアラブル機器への実装を目指す。
有機半導体レーザーの構造イメージ 出典:三井化学
有機半導体レーザーは、可視から近赤外の領域において任意の波長で発振することができるという。特に近赤外波長域は、生体認証や光学センサーといった分野での応用が期待されている。柔らかい有機材料を用いることで、フレキシブルデバイスへの適用が可能である。
三井化学はこれまで、CD-R/DVD-R、有機ELなどに向けた有機色素の開発や実用化で多くの実績を持つ。これらの開発で培ってきた分子設計や有機合成技術を新たな有機色素開発にも活用する。
一方、KOALA Techは、九州大学最先端有機光エレクトロニクス研究センターで開発した有機半導体レーザーダイオード(OSLD)技術を実用化するために設立されたスタートアップ企業。共同研究では同社が有するOSLDの技術などを持ち寄ることにしている。
- ポリマー鎖間の電荷輸送性を高める分子設計法開発
東京大学と筑波大学らの研究グループは、半導体ポリマー(高分子半導体)鎖間の電荷輸送性を高めることができる分子設計法を新たに開発した。低分子半導体に匹敵する高性能半導体ポリマーの開発につながる技術とみられている。
- 東京大ら、高感度有機半導体ひずみセンサーを開発
東京大学とパイクリスタルの共同研究グループは、大面積で高性能有機半導体単結晶ウエハーの表面上に、二次元電子系を選択的に形成することができるドーピング手法を新たに開発。この手法を用い、感度が従来の約10倍という「有機半導体ひずみセンサー」を実現した。
- 4.3MHz動作の高速n型有機トランジスタを開発
東京大学と筑波大学の研究者らによる共同研究グループは、印刷が可能でバンド伝導性を示すn型有機半導体単結晶薄膜を用い、4.3MHzで動作する高速n型有機トランジスタを開発した。
- 塗布型TFTを開発、半導体結晶膜を高均質に塗布
東京大学は、液体を強くはじくフッ素樹脂の表面上に、半導体結晶膜を高均質に塗布できる新たな技術を開発した。この技術を用いて、駆動電圧が2V以下でSS値は平均67mVという塗布型TFT(薄膜トランジスタ)を開発、その動作を確認した。
- 有機半導体トランジスタの高速応答特性をモデル化
東京大学と産業技術総合研究所(産総研)、物質・材料研究機構(NIMS)の共同研究グループは、有機半導体トランジスタの高速応答特性をモデル化することに成功した。製造した有機半導体トランジスタの遮断周波数は、最速となる45MHzを達成した。
- 製造プロセスの適合性が高い有機半導体を開発
東京大学や富山高等専門学校、筑波大学らの研究グループは、蒸着法や印刷法などの製造プロセスを適用して、高性能の有機半導体「C▽▽10▽▽-DNS-VW」を開発した。安価な電子タグやマルチセンサーの実用化を加速する。
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