ソシオネクストは、ミライトやMMD、ヌリテレコムと協力し、次世代長距離電力線通信に関する実証試験を行い、社会実装に向けて具体的な検討やシステム提案を行う。
ソシオネクストは2021年3月、ミライトやMMD、ヌリテレコムと協力し、次世代長距離電力線通信に関する実証試験を行い、社会実装に向けて具体的な検討やシステム提案を行っていくと発表した。
電力線に通信信号を乗せる国際規格(IEEE 1901-2020)に準拠した、「高速電力線通信(HD-PLC:High Definition-Power Line Communication)」は、一般的な通信網ではなく、電源線を活用して通信を行うことができる。
ソシオネクストは、高速電力線通信の次世代規格に準拠した長距離電力線通信LSIを開発中である。これまで同社が蓄積してきた低消費電力技術、高性能アナログ技術、電源技術などを駆使して設計。小型で低消費電力、長距離通信を可能とするLSIである。
LSIの試作品を搭載したシステム検証用の小型PoC(Proof of Concept)も開発した。4社は、この小型PoCを用いて長距離通信のテスト検証を実施した。1kmを超える通信距離で良好な結果が得られたことから、マルチホップ機能を活用すれば合計10kmの通信も可能と見込んでいる。
これらの検証結果を受けて、ミライトは受電設備や空調、発電設備などの設備機器、メーターやセンサーといった各種情報機器のデータ収集などに、次世代HD-PLCを活用した通信網を提案していく計画である。
MMDは、水族館における特殊設備機器の状態監視やミュージアム、商業施設での調光制御、サイネージ、監視カメラ、エネルギーマネジメントといった用途に向けて、次世代HD-PLC活用のDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューションを提案する。
ヌリテレコムは、ICTインフラの安定稼働や効率的な運用環境を提供するエネルギーソリューション分野において、次世代HD-PLCを活用した通信網の実装検討に入る予定。
なお、システム検証用の小型PoCは2021年4月から提供を始める。ソシオネクストは、2021年度中にも長距離電力線通信LSIの量産を開始するという。
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