パナソニックは、電力線などさまざまな既設のメタル線を活用して、高速にデータ通信を行うための通信規格(IEEE 1901-2020)に準拠した「HD-PLC4」IPコアのライセンス供与を始めた。
パナソニックは2021年3月、電力線などさまざまな既設のメタル線を活用して、高速にデータ通信を行うための通信規格(IEEE 1901-2020)に準拠した「HD-PLC4」IPコアのライセンス供与を始めた。
HD-PLCは、従来の電力線を中心とした通信方式から、同軸線やツイストペア線、電話線など、既に敷設されたあらゆるメタル線を通信回線として利用できる。このため、HD-PLCを活用すれば新規に専用のケーブルを敷設しなくても、簡単にネットワークを構築することが可能となる。
新たにライセンス供与を始めるHD-PLC4 IPコアは、HD-PLCシリーズの第4世代となる。これまでのシリーズに比べ、有線通信の高速化や長距離化、省線化を可能にした。例えば、利用通信帯域は標準モードの250Mビット/秒に対して、2倍モードでは500Mビット/秒、同軸線や専用線の活用を前提とした4倍モードでは最大1Gビット/秒を実現した。
逆に、利用通信帯域を標準モードの2分の1や4分の1に縮小して狭帯域化すれば、標準モードに比べ通信距離を最大約2倍にすることができる。さらに、マルチホップ機能を活用することで、最大1024ノードの広域ネットワークを構築することが可能である。
パナソニックは、HD-PLC4 IPコアとしてPLC通信のPHYとMACおよび、サンプルのアプリケーションソフトウェアを含むファームウェアなどを提供する。オプションとなる高速モードやマルチホップ機能を追加するための開発支援なども行う。
パナソニックは、ソシオネクストに対しHD-PLC4 IPコアのライセンス供与を先行して行う。ソシオネクストは2021年4月より、システム検証用小型PoCの供給を始める予定だ。HD-PLC4 IPコア搭載の長距離電力線通信LSIも2021年度中には量産に入る計画である。
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