すぐに開発に着手できるようスターターキットも用意した。価格は199米ドル。Khona氏は「FPGAの経験がなくても1時間以内に設計を実行可能」だと述べる。同キットで運用の準備が完了したら、Kria K26 SOMの商用環境向け、産業用向けにシームレスに移行することが可能だ。
開発環境については、
という4つの方法が可能だ。「これら4つは、設計のシンプルさと柔軟性がトレードオフになっている。それぞれのスキルレベルや実行したい推論の内容に合わせて、開発環境を選べるようになっている」(Khona氏)
Kria SOMは、Kria K26 SOM以外に2つの製品群展開が予定されている。電池駆動のシステムやその他の低コストアプリケーション向けとなるコスト重視版と、ワット当たりで最高クラスのリアルタイム演算性能を求める用途向けの性能重視版だ。これら2つについては、発表時期について具体的なスケジュールはなく、「恐らく2022年以降になるのではないか」(Khona氏)としている。
記者説明会には、AI技術の開発や実装を手掛ける、東京工業大学発のベンチャー企業TAI(タイ/Tokyo Artisan Intelligence)のCEOを務める中原啓貴氏が登壇。TAIが開発中のGUIベースのAI設計ツール「TAI Compiler」を使って、機械学習をKria KV260 ビジョンAI スターターキットに実装し、それを使ったデモを披露した。中原氏によれば、「スターターキットを開封後、わずか1時間で実機が動作した」という。「TAI Compilerは学習も推論もできるツール。同スターターキットを使って、学習も含めたPoCデザインを数日で完了した」(中原氏)
デモでは、Kria K26 SOMにTAI Compilerで顔検出のAI機能を実装し、動画から顔を検出する様子を示した。「フルHDの動画でも滑らかに顔を検出できている。また、実際に動かして驚いたのが、ほとんど発熱していない、つまり低消費電力ということだ。これがGPUやCPUだと、ヒートシンクに熱くて触れないほどになる」(中原氏)
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