村田製作所と台湾Cooler Masterは、厚みが200μmと極めて薄い、電子機器向け放熱部品「ベイパーチャンバー」を共同開発した。5G対応スマートフォンに実装されたICなどから発生する熱を効率よく分散し、放熱することができる。
村田製作所と台湾Cooler Masterは2021年5月、厚みが200μmと極めて薄い、電子機器向け放熱部品「ベイパーチャンバー」を共同開発したと発表した。わずかな内部空間に設置することができ、5G(第5世代移動通信)対応スマートフォンに実装されたICなどから発生する熱を効率よく分散し、放熱することができる。
電子機器の熱対策部品として、グラファイトシートやヒートパイプなどが用いられている。ところが、5G対応スマートフォンやAR/VRデバイスなどに代表されるモバイル機器では、高密度設計により筐体内部の実装空間が狭くなるなどして、従来の熱対策部品では十分に対応できなくなってきたという。
そこで村田製作所は、厚みがわずか200μmのベイパーチャンバーを設計した。薄い金属箔を重ね合わせた内部に、冷却用の液体(作動液)を封入した構造だ。ICからの発熱などで温度が上昇すると作動液が蒸発し、蒸気がベイパーチャンバー内部に拡散することで放熱を行う。温度が下がると蒸気は液体として再度凝縮し、微細な隙間を備えたウィックにより、再び熱源まで循環する。
Cooler Masterは、PCやHPC、家電製品、サーバ、自動車などさまざまな業界に向けたサーマルソリューションを提供している。共同開発したベイパーチャンバーの製造はCooler Masterの工場で行う。
今回のベイパーチャンバーは、協業による製品開発の第1弾となる。引き続き両社は協業関係を強化し、さまざまなニーズに対応する放熱部品の開発に取り組む。またCooler Masterは、2021年後半に竣工予定の本社ビル内に、村田製作所の試験レベルに合わせた開発、試験設備を導入する計画である。
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