リチウムイオン電池(LiB)主要4部材の世界市場は、2020年の約233億米ドルに対し、2025年は約500億米ドルの規模に達する見通しである。矢野経済研究所が調査した。
矢野経済研究所は2021年6月、リチウムイオン電池(LiB)主要4部材の世界市場を調査した。2020年は約233億米ドルで、2019年に比べ13.1%の増加になった。2025年は約500億米ドルの規模に達する見通しである。
今回の調査は、「正極材」「負極材」「電解液・電解質」および、「セパレーター」の4部材を対象にしている。車載向けや民生小型機器向けLiBセル用途の市場規模(メーカー出荷金額ベース)や、国別の出荷数量シェアなどをまとめ発表した。調査期間は2020年10月〜2021年5月である。
2020年における中国のxEV市場は当初、前年割れの厳しい見通しであった。ところが、実際には2020年後半から急成長し、2020年通年では前年を上回る市場規模となった。欧州でも主要国でxEV市場が好調に推移した。このため、2020年の車載用LiBセル市場はコロナ禍でも成長し、LiB材料需要は拡大した。
民生小型機器用LiB市場は、スマートフォン向けが前年水準を下回る中で、電動工具や電動バイク、電動自転車向けが需要をけん引した。また、ノートPCやタブレット端末向け需要が拡大したこともあり、2020年の民生小型機器向けLiB材料需要は増加した。
この結果、2020年はLiB主要4部材の市場規模が233億2219万1000米ドルとなった。その内訳は正極材が53.6%、負極材が16.9%、電解液・電解質が9.9%、セパレーターが19.5%の構成比(四捨五入のため合計値は一部異なる)である。
2021年以降も、車載向けを中心にLiBセル市場は拡大を続けると予測。これに伴い、LiB材料市場も、2022年は約311億米ドルへ、2025年は約500億米ドルの市場規模に達すると予測した。
LiB主要4部材の国別市場シェア(メーカー出荷数量ベース)も調べている。これによると、中国が4部材全てにおいて、シェアを拡大した。例えば、2020年における負極材の中国シェアは約81%で、前年に比べ約4ポイントも上昇した。正極材や電解液・電解質でも約73%のシェアを確保するなど、圧倒的な強みを持つ。
中国ではxEV向けの補助金政策が延長され、安価な低容量EVも新たに売れ始めているという。このためLiB主要4部材の国別シェアでも、当面は中国勢優位の状況が続くとみられている。なお、日本は中国に続くシェアを確保しているが、その数値は下降傾向にある。
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