村田製作所は2021年7月29日、2022年3月期(2021年度)第1四半期(4〜6月)の決算を発表した。売上高は、前年同期比34.5%増の4396億円、営業利益は同104.7%増の1051億円で増収増益となった。純利益も同95.1%増の772億円で、四半期業績では過去最高を更新した。また通期業績予想についても、売上高が前年比6.1%増の1兆7300億円、営業利益は同16.5%増の3650億円と、それぞれ前回発表(2021年4月)から上方修正した。
村田製作所は2021年7月29日、2022年3月期(2021年度)第1四半期(4〜6月)の決算を発表した。売上高は、前年同期比34.5%増の4396億円、営業利益は同104.7%増の1051億円で増収増益となった。営業利益率は23.9%。また、純利益も同95.1%増の772億円で、四半期業績では過去最高を更新した。
村田製作所会長の村田恒夫氏は、「想定より強い数値となったが、これは(顧客が)前倒しで部品を取り込んでいることが非常に大きい。最終製品の需要そのものが急激に上がったという状況ではなく、部品不足に対する不安心理が大きく働いたのではないか」と説明。「特に自動車関係が半導体不足で生産が滞っているかと思うが、半導体が入ればいつでも増産に向けて生産を開始したい、早めに取り込める部品については取り込んでいきたいという意識が強く、在庫を積み増しているというのが第1四半期の状況だった」と語った。
2021年度第1四半期業績を製品別でみると、主力のチップ積層セラミックコンデンサー(MLCC)が、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響などから自動車の生産台数が回復したこと、また今後の増産に向け二た顧客の部品在庫積み増しによって、カーエレクトロニクス向けに増加。PC関連やスマートフォン向けでも大きく増加し、結果、コンデンサーの売上高は前年同期比40.7%増の1893億円となった。
圧電製品は、表面波フィルターがスマートフォン向けで大きく増加し売上高は同46.9%増の388億円。その他コンポーネントも、インダクターがスマホ向けで大きく増加した他、リチウムイオン二次電池もパワーツールやゲーム機向けで好調で、売上高は同43.4%増の1109億円となった。さらに、モジュールについても樹脂多層基板(メトロサーク)がハイエンドスマホ向けで増加、同13.5%増の999億円となった。
受注残高は、2021年6月末時点で4907億円で過去最高を更新。村田氏は、「前年同期がCOVID-19の影響で各セットの生産が大きく落ち込んだ時期なので、前年同期比では幅広い用途で大幅な受注増がみられた」と説明した。なお、前四半期比では、コンデンサーがPC関連向けや基地局向けで増加したものの、高周波モジュールや表面波フィルターがスマホ向けで減少している。
これまで中華圏スマホメーカー各社から旺盛な受注が続いてきたが、村田氏は「半導体不足の影響や、各社が競って生産拡大を仕掛けたということもあり、需給のバランスを考えるとこれ以上の部品取り込みは必要ないという状況になりつつある。下期にかけてはこれまでのような大きな取り込みはなく進むだろう」と述べた。一方、下期からはハイエンドスマホの生産拡大が見込まれることから、「スマホ全体が落ち込むということではない」としている。
また、自動車市場において、部品在庫の積み増しの動きが引き続き見られることや、巣ごもり需要やテレワークなどによってコンピュータ関連で高水準な需要が継続するという見込みから、過去最高を更新するとした前回発表(2021年4月)の2021年度通期業績予想をさらに上方修正。売上高は前年比6.1%増の1兆7300億円、営業利益は同16.5%増の3650億円を見込んでいる。
2021年度の設備投資額についても前回発表(同)から100億円増の1700億円に増額、MLCCや電池関係など「需要拡大が期待できる製品」の生産能力を増強するという。
村田氏は「足元では新型コロナウイルスの変異株の流行に加え、半導体供給不足をはじめとするサプライチェーン上での供給制約の影響も懸念され、先行きは不透明な状況にある。短期的な経営へのインパクトの最小化と中長期的な成長機会への備えの両面を意識しながら事業運営を行っていく」と語っていた。
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