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ADIがウェアラブル向けAFEとPMICを発表高集積化で小型化、高機能化に貢献

Analog Devices(以下、ADI)は2021年9月、ウェアラブル端末など電池駆動の小型医療端末向けのアナログフロントエンド(以下、AFE) ICおよび、パワーマネジメントIC(PMIC)の新製品を発売した。

» 2021年09月22日 13時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 Analog Devices(以下、ADI)は2021年9月、ウェアラブル端末など電池駆動の小型医療端末向けのアナログフロントエンド(以下、AFE) ICおよび、パワーマネジメントIC(PMIC)の新製品を発売した。いずれの製品も需要が拡大しつつあるウェアラブル端末やヒアラブル端末などの小型化、高機能化に貢献する製品だとする。

3つの生体情報測定用システムを集積

 新製品の1つAFE IC「MAX86178」は、生体情報を測定するための3つの測定用サブシステムを搭載する「3in1」が最大の特長。心拍数と血中酸素飽和度(SpO2)を測定するための光学式PPGサブシステム、心電図などを測定するためのシングルリードECGサブシステム、呼吸数などを測定するための生体電位/生体インピーダンス(BioZ)サブシステムを集積した。これにより、心電図、心拍数、血中酸素飽和度、呼吸数という4つの一般的な生体情報測定を1つのAFE ICで実現できる。同社インダストリアル&ヘルスケア製品事業部ヘルスケアマネージング・ディレクターのAndrew Baker氏は「シングルリードECGサブシステムは(医療用機器の技術規格である)『IEC60601-2-47』に準拠しているなど、いずれのサブシステムも臨床グレードのシステム」とする。

アナログフロントエンドIC「MAX86178」 (クリックで拡大) 出典:Analog Devices

 従来の同社AFE製品では、測定用サブシステムの搭載は2種類までで、3種類の搭載は今回が初めて。3種類のサブシステムを2.6×2.8mmサイズのウエハーレベルパッケージ(WLP)に集積したことで、端末の小型化が可能になるという。

「MAX86178」を使用したパッチ型生体情報モニター端末の構成例 (クリックで拡大) 出典:Analog Devices

3つのレギュレーターが1つのインダクターを共有可能

 もう1つの新製品であるパワーマネジメントIC「MAX77659」も主に生体情報を取得するようなウェアラブル機器やヒアラブル機器をターゲットにした製品。スイッチモード昇降圧チャージャーと3つの昇降圧型スイッチングレギュレーターを集積する。また「単一インダクタマルチ出力(SIMO)」と呼ぶ独自技術を採用し、3つのスイッチングレギュレーターは時分割で1つのインダクターを共有して使用できる。これにより1つの外付けインダクターだけで済むため「部品コストを60%、電源回路サイズを50%、それぞれ削減できる」(同社バッテリーパワーソリューションズ製品事業部エグゼクティブディレクター Karthi Gopalan氏)とする。

「単一インダクタマルチ出力(SIMO)」のイメージ (クリックで拡大) 出典:Analog Devices

 各レギュレーターの変換効率は中〜重負荷時で91%とし、軽負荷時の自己消費電流は5μAだという。またスイッチモード昇降圧チャージャーは、10分間の充電で4時間以上の動作時間を実現する急速充電が実現できるとしている。パッケージは2.55×2.37×0.5mmサイズのWLPを採用している。

パワーマネジメントIC「MAX77659」の概要 (クリックで拡大) 出典:Analog Devices

 ADIは2021年8月26日付で、Maxim Integrated Productsを買収。今回、発表した2製品はいずれもMaximで開発を進めてきたものになる。

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