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クラウドベースの車載ソフト開発を加速する「SOAFEE」Armの新しい取り組み(3/4 ページ)

» 2021年10月07日 13時30分 公開
[Egil JuliussenEE Times]

機能強化

 SOAFEEは、クラウドネイティブなフレームワークを利用することで、ベストプラクティスや標準規格などによるメリットを享受している。しかし、車載ソフトウェアは、クラウドネイティブ技術に対して機能を強化する必要がある。例えば、アプリケーションと、幅広い種類のアクセラレーターなどのリアルタイムプロセッサとを組み合わせることが可能な、ヘテロジニアスなコンピューティングアーキテクチャを利用して、ECUを導入するといった機能などが挙げられる。

 Armとパートナー企業各社は、ワーキンググループを設立することにより、クラウドネイティブ技術の中に存在するギャップを把握しながら、関連する標準化団体と連携していくことを目指している。協業することによってギャップを埋め、自動車分野におけるクラウドネイティブなフレームワークの適用を実現していきたい考えだ。

 現在、車載ソフトウェアの安全性とリアルタイム要件が求められていることから、オーケストレーターの機能強化が最も必要とされている。例えば、IO帯域幅や実行時間の保証などが挙げられる。またオーケストレーターは、車載ソフトウェアのランタイム要件の追加について明示することも求められている。

 次なるステップは、自動車需要に対応すべく、コンテナランタイムを向上させることだ。望ましい方法は、仮想コンテナランタイムを使用することだ。SOAFEEの開発メーカー各社は、コンテナの標準化団体「Open Container Initiative(OCI)」との協業により、コンテナランタイムの向上実現に向けた取り組みを進めているところだ。

 DevOpの機能強化を実現するには、自動車の試験/検証にターゲットを定め、クラウド活動や、研究所での開発、車載テスト走行などに至るまで、幅広く網羅する必要がある。また、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)に向けたクラウドネイティブ技術も、さらなる機能を提供することが可能な車載ソフトウェアへと移行していくだろう。

 SOAFEEの重要な価値提案としては、その移植性と、車載ソフトウェアプラットフォームおよびアプリケーションの再利用が挙げられる。移植性を実現するためには、アクセラレーターや高帯域幅IOデバイスなどに向けて機能強化を実現する必要がある。また機能安全やリアルタイム機能も、均衡を保つために不可欠な要素だ。

 VirtIOは、簡素化された”仮想”デバイスに仮想マシンでアクセスすることが可能な、標準化されたインタフェースである。SOAFEEは、VirtIOをどのように役立てることができるかを模索しているところだ。

 これらの車載用途向けのクラウドネイティブな性能向上の取り組みは、今もまだ発展途上にある。

入手方法

 現在、SOAFEEリファレンスソフトウェアスタックの初期バージョンを利用することができるため、クラウドネイティブな車載ソフトウェアの開発が可能だ。SOAFEEリファレンスソフトウェアのダウンロードはこちらから。

 開発メーカーがSOAFEEソフトウェアフレームワークを使用するためには、リファレンスハードウェアプラットフォームが必要だ。そこでADLINK Technologyが、2種類のプラットフォームを提供している。ラボ開発向けのシステムは、32コアの「Ampere Altra」SoC(System on Chip)を搭載している他、耐久性に優れたリファレンスハードウェアプラットフォームは、80コアのAmpere Altra SoCを採用し、自動車の試験で使用することが可能だ。

 リファレンスハードウェア/ソフトウェアフレームワークを使用することで、コックピットやADAS(先進運転支援システム)、自動運転車、パワートレインなどの用途向けに、SOAFEEベースのECUの開発や試験を行うことが可能になる。

 Armにとって、強力なクラウドエコシステムや、それに付随する組み込み自動車部品などを構築していく上で、さらに多くのハードウェア/ソフトウェアコンポーネントが必要になるだろう。そのためにはまだ時間を要するが、同社としては幸先の良いスタートを切ったといえるのではないか。

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