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ダイセル、マイクロ流体デバイスの開発を加速台湾の清華大学と共同研究

ダイセルと、台湾に本部を持つ国立清華大学(以下、NTHU)は2021年10月28日、「ダイセル・国立清華大学リサーチセンター」を設立し、「マイクロ流体デバイスプラント」関連の共同研究開発を始めたと発表した。

» 2021年11月05日 13時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 ダイセルと、台湾に本部を持つ国立清華大学(以下、NTHU)は2021年10月28日、「ダイセル・国立清華大学リサーチセンター」を設立し、「マイクロ流体デバイスプラント」関連の共同研究開発を始めたと発表した。研究主幹を務めるのは、NTHU玉山榮譽教授兼東京大学名誉教授である北森武彦氏。

 マイクロ流体デバイスは、基板(ガラス基板(チップとも呼ばれる))上に数百マイクロメートルの流路を作成し、その流路内で混合や反応、精製といった化学操作を行うための装置である。主に、研究領域で用いられている。

マイクロ流体デバイスのイメージ 出所:マイクロ化学技研

 さらに、このマイクロ流体デバイスを1万枚以上並列化した「マイクロ流体デバイスプラント」を構築することで、研究で確立された製法のまま、大量生産へと移行できる。年間数十トン以上の生産が可能になるとする。

「マイクロ流体デバイスプラント」のイメージ。マイクロ流体デバイスの並列化の数によって大きさは変わるが、同写真は「実験装置であり、スペースや装置の規模のイメージをつかんでいただければ」と広報は説明した 出所:ダイセル

 ダイセルの広報によると、マイクロ流体デバイスプラントの大きな利点は、量産したい規模に合わせてスケールアップ/スケールダウンを行えるところだという。小規模の量産であれば、マイクロ流体デバイスを並列化する数を少なくし、大規模の量産をしたいならば並列化する数を大きくすればいい。量産規模ではなくて、工場や建屋のスペースに合わせて、マイクロ流体デバイスプラントの大きさを決めることもできる。「省スペースだけでなく、必要なものを必要な量だけ製造できるので、省エネルギー、省資源にもつながる。そこに高い生産効率を見いだした」(ダイセル広報)

 NTHUは、ナノテクノロジー関連の研究で台湾トップクラスの大学として知られ、TSMCなど台湾企業との産学連携にも取り組んでいる。今回のリサーチセンター設立は、NTHUにおいて9番目で、日本企業との産学連携は初めてのケースになるという。

 ダイセル・国立清華大学リサーチセンターは、台湾の新竹サイエンスパークに隣接する同学キャンパス内に設立される。ダイセルは、マイクロ流体デバイスの研究開発を、東京大学の社会連携講座*)「マイクロ流体化学プロセス工学研究部門」で2020年4月から開始した。ダイセルは、今回の共同研究開発を通して、マイクロ流体デバイスプラントの早期の社会実装を目指すとする。

*)東京大学が、公共性の高い共通の課題について、東京大学と共同で研究を実施しようとする民間企業から受け入れる経費などを活用して、設置される講座、または研究部門。

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