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東芝が3社に分割へ、デバイスとインフラサービスを分離2023年度下期までを目標に(1/2 ページ)

東芝は2021年11月12日、東芝本体からデバイスとインフラサービスの両事業をそれぞれ分離し、計3つの独立会社に分割する方針を発表した。東芝本体は東芝テックとキオクシアホールディングスの株式を管理する会社となるが、キオクシアの株式については、約40%保有する全株を売却する予定だ。同社は2023年度下期までに2つの新会社の独立および上場完了を目標としている。

» 2021年11月15日 15時30分 公開
[永山準EE Times Japan]

 東芝は2021年11月12日、東芝本体からデバイスとインフラサービスの両事業をそれぞれ分離し、計3つの独立会社に分割する方針を発表した。東芝本体は東芝テックとキオクシアホールディングスの株式を管理する会社となるが、キオクシアの株式については、約40%保有する全株を売却する予定だ。同社は2023年度下期までに2つの新会社の独立および上場完了を目標としている。

東芝代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)の綱川智氏

 同社の代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)の綱川智氏は、今回の計画について、「株主価値の向上に加え、全てのステークホルダーの視点に立って事業ごとにビジネスの特性、バリューチェーン、ビジネスサイクルなどの観点から徹底的な議論を行い、この戦略的再編がベストであるとの結論に至った」と説明。「東芝は140年以上の長い歴史の中で時代の変化とともに会社の形を変え進化してきた。今回の戦略的再編によりインフラサービスカンパニー、デバイスカンパニーはそれぞれの事業領域でリーディングカンパニーとなることを目指していく」と語っていた。

東芝とインフラサービスカンパニー、デバイスカンパニーの3つの独立会社に分かれる計画だ 出所:東芝

 分離によって、エネルギーシステムソリューションとインフシステムソリューション、ビルソリューション、デジタルソリューション、電池事業で構成し2021年度の売上高規模が2兆1000億円となる「インフラサービスカンパニー」と、パワー半導体やデータセンター用HDD、半導体製造装置などデバイス&ストレージソリューションを扱う同売上高規模8700億円の「デバイスカンパニー」の2社が誕生することとなる。なお、いずれも仮称で、正式名称は「決まり次第公表する」としている。

 東芝本体は、東芝テックとキオクシアの株式を管理する。なお、キオクシア株式について同社は、「株主価値の最大化を図りつつ、実務上可能な限り速やかに現金化し、手取り金純額についてはスピンオフの円滑な遂行を妨げない範囲で全額株主還元に充当する」と説明している。

 綱川氏は、インフラサービスは「ビジネスサイクルが長く、市況より当事者間の交渉に大きく影響を受ける。設備投資規模は相対的に小さく、受注生産を行う」、デバイスは「ビジネスサイクルが短く、市況に大きく左右される。多くの顧客に多くの品種を提供する必要があり、多額の設備投資を機動的に行う必要がある」と2事業のビジネス特性の違いに触れたうえで、今回の会社分離の狙いは、「シンプルな構造にすることで大きな価値を顕在化させること」「専門的かつ俊敏な経営を実現すること」「株主への選択肢を増加させること」の3つだと説明。「今回の戦略的再編はそれぞれの事業の競争力を高め持続的で利益ある成長を実現するためのステップであり、ステークホルダーにとっての価値を最大化できる最善の道であると確信している」と述べた。

左=新事業体制の概要/右=事業ごとのビジネス特性。大きく異なるビジネス特性の観点から、2つの事業を分けるべきと判断したとしている[クリックで拡大] 出所:東芝

 インフラサービスカンパニー/デバイスカンパニーでは、それぞれに深い業界知識と明確な成長戦略を持つ専門性の高い取締役と執行役を選定。新たな経営体制構築に際しては社外人材起用も含めて、候補者を検討していく予定だ。また、綱川氏は、「マネジメント階層の削減による迅速な意思決定を行うことが可能になる。それぞれの事業が必要に応じて戦略パートナーを選定することも容易になる」とその利点について説明。パワー半導体の300mmウエハーラインの投資時期を例に挙げ、「私の反省でもあるが、現在の半導体不足の状況などを考えると、本来、われわれが投資を決めた半年前位には決断し投資できたのではないかと思う。今回は、それぞれの市場、競争原理、競争相手等を鑑みた上で専門的な執行部が早い決断、スピード勝負でグローバル競争に勝ち抜くという体制にした」と述べていた。

左=スピンオフのメリット/右=スピンオフプロセスのタイムライン[クリックで拡大] 出所:東芝
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