SynSenseとPropheseeは、Propheseeのイメージセンサー「Metavision」とSynsenseのニューロモーフィックプロセッサ「DYNAP-CNN」を統合したイベントベースの単一チップイメージセンサーを共同開発している。両社は今後、同イメージセンサーの設計、開発、製造、製品化でも連携し、小型化と安価を両立した超低電力センサーを生み出すことを目指す。
SynSenseとPropheseeは、Propheseeのイメージセンサー「Metavision」とSynsenseのニューロモーフィックプロセッサ「DYNAP-CNN」を統合したイベントベースの単一チップイメージセンサーを共同開発している。両社は今後、同イメージセンサーの設計、開発、製造、製品化でも連携し、小型化と安価を両立した超低電力センサーを生み出すことを目指す。
SynSenseのグローバルビジネス開発、アルゴリズムならびにアプリケーション担当シニアディレクター、Dylan Muir氏は、米国EETimesに対し、「われわれはセンサーではなくプロセッサの会社だ。低電力センサーの処理に目を向けていることから、プロセッサをセンサーの近くに配置することが望ましい。そのため、当社がイベントベースのビジョンセンサーを手掛ける企業と協業することは大いに道理にかなっている」と述べた。
SynSenseはイベントベースのイメージセンサーを手掛けるInivationとも連携し、解像度128×128のイベントベースカメラモジュール「Speck」を開発した。
Muir氏は、「当社はPropheseeとともに、より高い解像度のピクセルアレイの方向へ進む計画だ」と述べた。また、同氏は以前ソニーと協業したことにも言及し、微光での感度を実現する専門知識を自社の強みとして挙げた。Muir氏は、「長期的には、デバイスや極めて小型なモジュール内で高解像度の映像処理を行えるようにすることを目指す。これは、あらゆる要素をスケールアップするよりも複雑なタスクである」と述べた。
高解像度センサーアレイはより多くのスペースを占める上に、さらなる処理が必要になる。そのため、プロセッサコアが大きくなることも避けられない。Muir氏は、「高品質なイメージセンサーのシリコン要件は、コンパクトなデジタル論理の要件とは相いれない」と指摘する。そのため、 積層構造やマルチチップソリューションのバックツーバック接続が、最も可能性の高いソリューションと思われる。
高解像度センサーにはアルゴリズムの作業も必要になる。現在、より小さなピクセルアレイは、単一の畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)によって処理される。解像度が上がればCNNも巨大になる。また、画像を複数のタイルに分割し、多数のCNN上で並列に作動させることもできる。あるいは、イメージの一区画のみを検証することも可能になる。「研究開発は進行中だ」とMuir氏は述べた。
Propheseeの製品のようなイベントベースビジョンセンサーは、イメージではなくビデオフレーム間の変化にフォーカスする。この技術は人間の目が視覚の入力を記録/解釈する仕組みに基づいており、生成されるデータ量を大幅に削減する。低照度の状況では効率がさらに高まる。また、同技術は他のイメージセンサーよりもかなり少ない電力で実装することができる。
PropheseeのイベントベースのMetavisionセンサーでは、各ピクセルにインテリジェンスが組み込まれている。そのため、センサーが個別に作動してイベントをトリガーすることも可能になる。
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