STマイクロエレクトロニクスは、約50万画素の裏面照射型(BSI)ピクセルアレイを搭載したインダイレクトToF(iToF)測距センサー「VD55H1」を発表した。スマートフォンやAR/VR機器、民生用ロボットなどの用途に向ける。
STマイクロエレクトロニクスは2022年3月、約50万画素(672×804)の裏面照射型(BSI)ピクセルアレイを搭載したインダイレクトToF(iToF)測距センサー「VD55H1」を発表した。スマートフォンやAR/VR機器、民生用ロボットなどの用途に向ける。
iToF測距センサーは、反射信号と放射信号の位相シフトを測定することで対象物との距離を算出することができる。放射信号が対象物に反射して戻るまでの時間を測定する「ダイレクトToF(dToF)」方式の製品を補完する技術だという。
VD55H1は、50万以上のポイントを測定して3次元表面をマッピングすることができる。センサーから最大5m離れた対象物を検出できるが、パターン照明を用いることによって、測定距離をさらに伸ばすことも可能である。
また、独自のピクセルアーキテクチャと40nm積層ウエハー技術を用いた製造プロセスによって、消費電力を抑え低ノイズ、ダイサイズの最適化を実現した。従来のVGAセンサーに比べ、チップサイズが小さく画素数は75%以上も増えたという。
VD55H1は、200MHzの変調周波数で動作し、940nmの光源で85%以上の復調コントラストを実現した。この機能により、100MHz前後で動作する既存の一般的なセンサーに比べ、深度ノイズを半減できるという。
また、複数周波数による動作、先進的なデプスアンラッピングアルゴリズム、低ピクセルノイズフロアおよび、高ピクセルダイナミックレンジなどにより、広い測距範囲で高い測距精度を実現する。具体的に、深度精度は1%以内、標準的な精度は距離の0.1%である。
フレームレートは最大毎秒120フレームに対応、被写体ブレを改善できる。また、スペクトラム拡散型発振器(SSCG)を含め先進のクロック/位相制御により、複数機器による干渉の軽減や、EMCを最適化することが可能である。ストリーミングモードを備えたことで、消費電力を100mW未満に抑えることもできる。
VD55H1は既にサンプル品を出荷中で、2022年下半期には量産を始める予定。センサーの評価や製品開発が速やかに行えるよう、レファレンス設計と包括的なソフトウェアパッケージも用意している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.