ますます存在感と影響力を高めるRISCのいま : ArmとRISC-V (2/2 ページ)
マルチチップアーキテクチャや特定用途向けASICの開発により、業界はさらに特殊なワークロードへと移行しつつある。現在、既存企業や新興企業の両方が、ソリューションに焦点を絞ったマルチチップアーキテクチャの開発を加速させていることから、顧客企業にとっては選択肢や価値の幅が広がることになるだろう。その一方で、既存企業や新興企業は、構築/成長の期間からさまざまなメリットを享受することができる。
経済再生や豊かな資源、過去および現在の需要構築へのコミットメントなどに伴い、われわれは現在、パンデミックによって、PC/サーバ向けCPUや、ゲーム/AI(人工知能)向けGPU、FPGA、ASIC、特定アプリケーション向けSoC(System on Chip)など、幅広い種類のプロセッサのダイナミックな市場が出現し始めているのを目の当たりにしている。在宅勤務の増加によってPCやクラウドサービスがけん引され、現在も引き続き、ビッグデータやAI、デジタルエンターテインメント、クラウドなどに対するワークロード需要は増加傾向にある。
重要な進捗事項は、以下の通りである。
Intelが、イスラエルのメーカーTower Semiconductorを約60億米ドルで買収すると発表。これにより、他のメーカー向けに半導体製造を拡大できるとしている
世界第3位のカスタムプロセッサメーカーGlobalFoundriesが上場を達成し、26億米ドルの資金を調達
2020年のM&A取引総額は、以下の案件を含み、過去最高となる1080億米ドルに到達
AMDがXilinxを350億米ドルで買収
Analog Deviceが、Maxim Integrated Productsを210億米ドルで買収
2020年における高性能半導体チップ部門のベンチャーキャピタル投資額が、約80億米ドルに達し過去最高を記録
半導体のような資本集約的な産業は、他の産業に比べて計画を立てるのが難しい。設計と製造に長い時間がかかるため、最良の時でも、不足と余剰の時期が生じることがある。そして、COVID-19の先行きが不透明なことが、その計画をさらに複雑にしている。
とはいえ、これだけの資金があり、市場も好調のようなので、予測できない経済変動やパンデミック関連の変動がなければ、半導体不足は2023年までには解消されるだろうというのが、一般的な見方だ。資金が流れ、注文が追い付き、2023年以降は不足するよりも余る可能性の方が高い。特に、新しい生産設備が稼働している場合はなおさらだ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Intel、TSMCを活用しつつ「リーダーシップを取り戻す」
Intelが、かつてのライバルであったTSMCへの依存度を高めている。売上高を増加させ、最終的に製造規模と半導体プロセス技術分野において世界リーダーとしての優位性を取り戻していきたい考えのようだ。
「IPOはもともとプランA」と孫氏が語るArmの行方
ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク)は2022年2月8日、ArmをNVIDIAに売却する契約を解消したことを発表した。このため今後は、Armを株式公開企業として再上場する計画「プランB」に頼らざるを得なくなったようだ。しかし、ソフトバンクの会長兼社長である孫正義氏によると、もともとIPO(新規株式公開)は「プランA」だったと語る。
Intel、Tower Semiconductorを54億ドルで買収へ
Intelは2022年2月15日(米国時間)、ファウンドリー事業を展開するTower Semiconductor(以下、Tower)を54億米ドルで買収すると発表した。Intelは、「この買収により、われわれははファウンドリーサービスと生産能力の世界的な主要プロバイダーになるあゆみを加速し、業界で最も広範な差別化技術のポートフォリオを提供することができるようになる」としている。
IntelがRISC-V Internationalに加盟、投資ファンドも設立
Intelは、「IDM2.0」戦略の拡大を進める一環として、同社のファウンドリーエコシステムに統合可能な技術の開発を支援する10億米ドルの投資ファンドを創設したことを発表した。同社は同時に、新興のRISC-V市場での存在感を高めるための動きも見せており、世界的な非営利団体であるRISC-V Internationalへの加盟も表明した。
RISC-Vを取り巻く環境が大きく変化した1週間
2022年2月7日の週はRISC-Vエコシステムにとって、非常に重要な1週間だったといえる。一連の発表により、オープンソースの命令セットアーキテクチャ(ISA)の注目度が高まったのだ。以下に詳しく取り上げていきたい。
半導体産業、2022年には6000億ドル規模と予測
半導体産業を“基幹産業”と見なす予測が増えていることから分かるように、近年、半導体は、食品や電力、輸送に迫る重要な産業になっている。世界半導体市場統計(WSTS)は、「2022年の世界半導体市場は、ロジックチップとセンサーチップの需要が2桁増加する見通しで、前年比8.8%増となる6010億米ドルに成長する」と予想している。
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