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半導体輸出規制がロシアに与える強力な打撃中国企業によるカバーも困難か(1/2 ページ)

米国が半導体などエレクトロニクス技術のロシアに対する販売を禁止したことは、既に品薄状態が続いていた世界各地のサプライチェーンに影響をもたらすと、複数のアナリストが分析している。

» 2022年03月14日 09時30分 公開
[Alan PattersonEE Times]

 米国が半導体などエレクトロニクス技術のロシアに対する販売を禁止したことは、既に品薄状態が続いていた世界各地のサプライチェーンに影響をもたらすと、複数のアナリストが分析している。

 2022年2月にロシアがウクライナに侵攻を開始した後、AppleやTSMCなど世界規模のテック企業は、「iPhone」から半導体に至るまであらゆるもののロシアに対する供給を停止した。

 市場調査会社のIDCによると、ロシアとウクライナは情報通信技術(ICT)に対する世界支出のうち約1%を占めているという。ウクライナでの戦争が貿易、サプライチェーン、資本の流れ、エネルギー価格にもたらす影響は世界経済にも広範な範囲に及んでおり、ICT市場にマイナスの結果をもたらすはずだ。

中国も自国の需要で手いっぱい

 未知の変数の1つが中国だ。Semiconductor AdvisorsのプレジデントであるRobert Maire氏によると、中国のテック企業は米国のロシアに対する販売規制には参加していないが、そうした措置が何らかの供給ギャップを引き起こした場合、それを埋めることは困難だという。

 Maire氏は、メールで米国EE Timesに伝えてきたコメントの中で「中国の半導体メーカーの能力は限られており、ロシアが他のどこかで得ていたプロセス技術を全て補うことができないのは明らかだ。現在、誰もが生産能力が不足していることを踏まえると、ロシアの不足を補うことは、中国の半導体メーカーにはほとんど利益にならない」と述べた。

 SMICをはじめとする中国の半導体メーカーは、自国の需要を満たすので精いっぱいという状況だ。

 とはいえ、バイデン政権は、ロシアは代替となる技術調達先(ソース)を探さざるを得なくなると見込んでいる。そうしたソースはわずかだが、中でも中国は最大の候補である。近年、中国はロシアと密接な関係を築いてきたからだ。2022年3月8日(米国時間)、米国商務長官のGina Raimondo氏は、中国企業に対しロシアへの供給を行わないよう公に警告した。Raimondo氏はThe New York Timesに「ロシアは必ず他国に対し、米国の制裁と輸出規制をうまくかわすよう求めるだろう」と語った(参照)。特にSMICについて問われると、同氏は「われわれは、米国製の機器やソフトウェアを使用できなくすることで、SMICの営業活動を実質的に停止させることができる」と返答した。

 アジアの政府系ファンドに所属するファンドマネジャーが匿名を条件に語ったところによると、中国のエレクトロニクスメーカーは依然として必要な半導体の供給を受けているが、価格は以前より高値になっているという。1年以上前に米国がHuaweiを含む複数の中国企業をエンティティリストに載せて以降、中国での電源チップの価格は30倍も上昇したそうだ。

 このファンドマネジャーによると、米国はHuaweiに対し、5G(第5世代移動通信)スマートフォンなど一部の量産品の製造を禁止したという。なお、この人物は複数の世界規模の技術企業に投資している。

 それでも、Huaweiは現在も禁止措置が取られる前の75%の生産量を維持しているという。

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