米国では、組み立て/テストがより技術集約的になると予想されている。パデュー大学の教授であるPeter Bermel氏は、「民間企業による宇宙輸送機開発が加速しているため、耐放射性を向上させることの重要性がますます高まっていくだろう」と述べている。同氏は現在、米国防総省と共同で、新しい対放射線技術の開発に取り組んでいるところだ。
Bermel氏は、「宇宙環境で生存するための技術が、飛躍的な成長を遂げている。こうした技術は、SpaceXやBlue Originをはじめとするさまざまな民間企業の取り組みにおいて、不可欠なものとなるだろう」と述べる。「今から70年以上前に宇宙探査が始動した当時、ほぼ全てが地球低軌道(LEO)に存在していた。しかし現在は、検討すべき潜在的な環境の幅が広がっているため、こうした環境や放射線源について理解することの重要性がますます高まっていくだろう」(Bermel氏)
放射線耐性に関するもう1つの課題は、核戦争での生存率の問題だ。Bermel氏は、「国防総省だけでなく、エネルギー省など米国政府の一部にとっても、そうした環境下で生き残れるようにすることは優先事項だ」と述べている。
ただ米国は、そのような環境下での生存能力を高めるために、多くの課題を抱えている。そのうちの1つが、生産を拡大するために十分な人材を教育することだ。
Handwerker氏は、「米国では防衛、航空宇宙、埋め込み型医療機器を除いて、組み立てやパッケージング事業はあまり行われていない」と説明したうえで、「米国国防総省の人材開発プログラム『SCALE』がある。これは、国防総省に、敵対勢力に対して非対称な訓練を受けた労働力を提供するためのものだ」と語った。
Bermel氏は、「米国はアジアと競争できる半導体のエコシステムを必要としている。もし、それがなく、エコシステムの一部しかないのであれば、基本的にまだアジアに依存しているという問題がある」と述べている。
半導体メーカーからプリント基板メーカーに至るエコシステムの中で、米国政府のプログラムと民間企業の間でインセンティブをどのように配分すべきか、について米国政府を説得するのは容易なことではない。
ワシントンD.C.の電子産業ロビイストが匿名を条件に語ったところによると、補助金計画520億米ドルのうち約25億米ドルが、おそらく先端パッケージングに充てられるという。
このロビイストは「政府はまだ解決策を探っている。米国政府がこの規模のプロジェクトを立ち上げたことがないわけではないが、特に平時にはかなり珍しいことだ」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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