日本航空電子工業は、電気接続部の銀めっき膜の摩耗を大幅に抑える新技術「wearzerO(ウェアゼロ)」を開発した。今後、電気自動車(EV)用急速充電コネクターや車載パワーライン系の大電流コネクターに適用し製品化を進めていく。
日本航空電子工業は2022年4月、電気接続部の銀めっき膜の摩耗を大幅に抑える新技術「wearzerO(ウェアゼロ)」を開発したと発表した。今後、電気自動車(EV)用急速充電コネクターや車載パワーライン系の大電流コネクターに適用し製品化を進めていく。
EVの充電時間を短縮するには、大電流を流す必要がある。このため、電気接点には電気抵抗の低い銀めっきを用いて、損失を防いでいる。ところが、やわらかい銀めっき膜は、嵌合を繰り返すと接点の銀めっきが摩耗し、電気特性や挿抜特性が悪化することもあった。このため、銀めっきを硬質化するなどしてきたが、十分ではなかったという。
銀めっき膜の摩耗をほぼゼロにする新技術は、銀めっき膜の摺動部に特殊な界面構造を形成することによって、銀同士の凝着を制御する技術である。電気伝導を妨げない程度に銀めっき面同士が接触し、摩耗が進行しないように離脱を繰り返す。これによって、高い導電性と耐摩耗性を両立させることに成功した。
wearzerOは、軟質銀を数μm程度めっきした電気接続端子にも適用することができるという。このため、コネクター製造におけるめっき材の省資源化や、めっき工程の省エネルギー化が可能となる。
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