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Dish Networkが5Gを開始、全米カバー率20%を目指すスタンドアロン5Gを展開(1/2 ページ)

Dish Networkが2022年5月、米国ネバダ州ラスベガスにおいて、ようやく国内5G(第5世代移動通信)市場への参入を実現した。しかし、これはやっと最初のハードルを越えたにすぎない。発展途上の5G事業者である同社が、米国全土で5Gネットワークの実現を目指していくためには、まだクリアしなければならない障壁が数多く残っているためだ。

» 2022年06月14日 10時30分 公開
[Dan JonesEE Times]

 Dish Networkが2022年5月、米国ネバダ州ラスベガスにおいて、ようやく国内5G(第5世代移動通信)市場への参入を実現した。しかし、これはやっと最初のハードルを越えたにすぎない。発展途上の5G事業者である同社が、米国全土で5Gネットワークの実現を目指していくためには、まだクリアしなければならない障壁が数多く残っているためだ。

 Dish Networkは当初、2020年末にラスベガスにて5Gサービスを始動させる計画(「ラスベガス5G」)だったので、1年5カ月程度の遅れが生じたことになる。衛星放送サービスを手掛ける同社が、セルラー通信事業への移行を開始したのは、T-MobileとSprintが合併して米国第3位(現在では第2位)のモバイルネットワーク通信事業者になったころからだ。

 Dish Networkは2019年7月、T-MobileおよびSprintとともに、米司法省反トラスト局との間で、米国第4位の国内設備型ネットワークの競合企業になることで合意したと発表した。2022年6月中ごろまでに、25の主要市場や複数の小規模サイトに5Gネットワークを構築し、米国内で人口カバー率20%を実現することを確約していた。

 Dish NetworkのCEO(最高経営責任者)であるErik Carlson氏は、2022年5月6日に行った同年第1四半期の業績発表の場で、「われわれは目標の実現に向け、順調に進んできた。予定通り2022年6月14日までに、人口カバー率20%を達成できる見込みだ」と述べている。

 また業界アナリストたちも、Dish Networkが同社にとって初となる5Gの主要目標を達成できるとみているようだ。市場調査会社Recon AnalyticsのリードアナリストであるRoger Entner氏は、米国EE Timesが最近行った電話インタビューの中で、「Dish Networkは2022年6月をメドとしていた目標を達成するだろう」と述べている。

 また同氏は、「Dish Networkは最初にデータ専用ネットワークを提供してから、音声ネットワークではAT&Tに依存しなければならないだろう。しかし、Dish Networkは2021年7月に、Ma Bellとの間でワイヤレスネットワークサービスの10年契約を結んでいることから、そのための準備は整っている」と指摘する。

「Motorola Edge+」 出所:Motorola

 「Dish Networkにとって大きな課題となるのは、ディストリビューションではないだろうか。ネットワークだけでは不十分だからだ。人口カバー率がわずか20%となると、革新的なサービスを提供することは難しいため、事業提案は非常に困難になるだろう。さらに同社は、5G端末を販売するための店舗を展開する必要もある」(Entner氏)

 端末(スマートフォン)に関しては、Dish Networkが現在のところ、新しいネットワークで利用可能な5Gモデルとして用意しているのは、900米ドルの「Motorola Edge+」ただ1つだけだ。また、同社が現時点で提供しているサービス「Project Genesis」では、1カ月当たり30米ドルという手頃な価格で、5Gデータやテキスト、音声などを無制限で利用可能だという。

 Dish Networkが現在、5Gを展開するにあたって使用している周波数帯域は、600MHzと、700MHzのEブロック、800MHz、AWS-4(2000M〜2020MHz帯、2180M〜2200MHz帯)、AWSのHブロック(1915M〜1920MHz帯、1995M〜2000MHz帯)である。また、ラスベガスの初期導入においてデータダウンロード速度の向上を実現すべく、Band71(600MHz)の低帯域幅と、Band66(AWS)の中帯域幅をカバレッジ向けに使用している。

 Dish Networkの広報担当者であるTed Wietecha氏は、サービス提供が正式に始動した日に、Las Vegas Review-Journalの取材に応じ、「ラスベガス5Gサービスのダウンロード速度は、100Mビット/秒(bps)を超える。ラスベガスのほぼ全域と一部の郊外をカバーしている」と述べた。

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