コアスタッフは2022年7月5日、半導体/電子部品の供給不足の現状と今後の展望に関する記者説明会を行った。説明会では同社社長の戸澤正紀氏のほか、英国の調査会社Omdiaのシニアコンサルティングディレクター、南川明氏も登壇。南川氏は、「この1カ月で急速にエレクトロニクスの消費が落ちてきている。半導体の需給バランスが急速に逆回転し始めようとしている」との見解を示した。
コアスタッフは2022年7月5日、半導体/電子部品の供給不足の現状と今後の展望に関する記者説明会を行った。説明会では同社社長の戸澤正紀氏のほか、英国の調査会社Omdiaのシニアコンサルティングディレクター、南川明氏も登壇。南川氏は、「この1カ月で急速にエレクトロニクスの消費が落ちてきている。半導体の需給バランスが急速に逆回転し始めようとしている」との見解を示した。
南川氏によると、世界GDP成長率と民間最終消費支出は2000年以降、ほぼ同じ動きを示しているという。これはGDPに占める民間最終消費支出が大きいためと考えられる。
しかし、2020年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響から世界GDPと民間最終消費支出は−5%程度まで落ちこんだ後、2021年にはGDPが6%に成長したのに対し、民間最終消費は11%にまで大きく伸長し、オーバーシュートが発生した。要因は、供給の不安によって多め/早めの発注が進んだことなどが挙げられ、この反動から2022年のGDPは2%台にまで低下する可能性があるという。
南川氏は、半導体市場について「かなり急ブレーキがかっていると認識している」と言及。「これから半年から1年程はかなりの大きな調整が起こるだろう」と語った。
なお具体的には、2022年初旬にはテレビの需要減などを受けてディスプレイドライバーが余り始めたほか、その後はスマートフォンの需要減から7nmプロセスのアプリケーションプロセッサも調整が進んでいるという。このほか、PCおよびスマホの需要減からメモリも「少しずつオーバーサプライになってきている」という。一方で、カーボンニュートラル実現に向けた需要および自動車の電化を背景に、パワー半導体などは不足が続いている。
ただ、南川氏は「長期的に見れば、それほど心配する必要はない」とも付け加え、その根拠として、DX(デジタルトランスフォーメーション)/GX(グリーントランスフォーメーション)による今後の成長予測を示した。
半導体市場は2001〜2008年ごろまではPC/液晶テレビ、2009年以降はスマートフォンといった形で個人消費が市場をけん引してきた。近年スマホの成長が鈍化してきたが、南川氏は、半導体市場がデータセンターやGX投資による「高度成長期に入っている」とし、「(鈍化を)カバーするように、今後は政府の消費が進む」と述べた。
南川氏は、「これら(DX、GX)は政府が投資をするインフラに近いものだ。今後は個人と政府の消費という両輪ができるわけで、今後の10年は過去の10年に比べ、ドライバーが強いものになる。足元の小さなリセッションは当然起こるが、長期的に考えればかなり力強く成長していくだろう」としている。
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