半導体市場の全体像を見ると、これまで市場の成長をけん引してきたPCやスマホなどの需要が依然として大きいものの、成長は鈍化している。一方で今後はDX、GXによって特に自動車向けが新たなけん引役となっていく見通しだ。
GXに関しては、カーボンニュートラル市場向け半導体はこれまで半導体市場全体の5%程度だっとというが、2021年以降成長を続けていく見通しとなっており、「2030年には9〜10%を占めるようになるだろう」(南川氏)という。さらに、DX関連の半導体については「現在、市場全体の約25%ほどだが、2030年には60%程度まで高まるだろう」としている。
また、DXでマイクロプロセッサやメモリ、ロジックの先端プロセス品が求められる一方、GXでは電源に関わるパワー半導体やDC-DCコンバーターなどアナログがメインとなることから、南川氏は「Intelをはじめ、デジタルでは強いメーカーが多いが、アナログは規模が小さい企業が少なくない。今後アナログが伸びるとなると、アナログ製品を持たないそうしたメーカーが、アナログ半導体企業を買収するという動きもでてくるだろう」と指摘していた。
南川氏は最後に、半導体メーカーの投資と生産能力との関係についても説明した(下図)。世界の半導体メーカーの投資総額は2000〜2016年まで6兆円を天井に増減を繰り返していた一方でその間、生産能力は2.5倍となっていた。しかし2017年以降、投資が10兆円を超えたにもかかわらず、2020年までの4年間、生産能力はほとんど増加していなかったという。
この理由について南川氏は、「例えばNAND型フラッシュメモリでは2Dから3Dとなって積層することで生産工程が増えた。これまで2カ月でできていたものが4カ月かかるといった形で、投資にも関らずほとんど生産能力は伸びなかった。ロジックも同様に10nmプロセス以下になると工程が複雑となり工程数が増えた」と説明。その上で、「2020、2021年でさらに投資が進み、やっと生産能力も伸び始めた。その結果、今後1〜2年はオーバーサプライになる可能性が出てきたが、逆にいえば、生産能力を増やし続けるためは、2020〜2021年の、今まで考えられなかった規模の設備投資を続けなければならない」と続けた。
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