半導体業界は、あらゆるものに関する膨大な量のデータを収集している。しかし、このような価値あるデータが、企業間でほとんど共有されていないという状態にある。これまでは個別的なデータ分析によって、さまざまな価値あるソリューションが実現されてきたが、バリューチェーン全体の企業が参加することによってデータを共有し、そこからメリットを得られるようにすれば、無限のチャンスが広がることになる。
複数ソースから得られる大量の高速データには、業界に大きな革命を起こす可能性が秘められている。例えば、全体で協業して、かつては分離されていたデータセットを取得して統合し、分析を行うことによって、異なる種類のプロセスパラメーターや材料の間に、これまで予測できなかった重要な洞察や相互依存があることが分かる。そしてそれが、こうした相互依存からはこれまで予測できなかったであろう、予期せぬ結果や改善へとつながっていく可能性がある。
最優先すべきは、複数メーカーからのデータを統合し、品質に影響を及ぼす隠れたパラメーターを正確に示すことが可能な業界全体のエコシステムを構築することにより、半導体業界が、時間と労力を最重要事項に集中できるようにすることだ。そのためには、顧客企業が自社の情報/IP(知的財産)に対する完全な所有権を確保できるよう、データセキュリティを保証する必要がある。
IPセキュリティは、競合相手やさまざまな企業が共有/共同プラットフォームに参加するにあたって信頼性を提供する上で、非常に重要なコンポーネントとなる。また、企業が知識を蓄積して材料品質を向上させることにより、業界における供給の混乱を最小限に抑えられるようになる。”IPの汚染(Contamination)”を回避するためには、データ共有を簡素化する必要がある。機密情報は共有せずに、全てのデータをコーディングしたり正常化することによって、各プレーヤー企業が、エコシステム全体で知識を得たりデータや主要傾向を活用できるようにするのだ。
半導体チップを開発するには、非常に複雑な製造プロセスが必要だ。幅広いデータセットへのアクセスを確保して、最先端分析技術を適用することができれば、このような複雑性の一部を解読して、革新的なソリューションを迅速に見つけ出せるようになる。より多くのデータを集合的に分析してパターンを認識し、個々のプロセスステップや材料の相互作用の間の関係性を探し出すことにより、最適化を実現して、歩留まりの最大化やコスト削減へとつなげていくことができる。
半導体業界にとってはまさに今、さまざまな企業間でセキュアかつ持続的なデータ共有を実現することが可能なデータエコシステムをベースとして、新たな品質基準を生み出すべく協業すべき時が来たといえる。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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