昭和電工は2022年8月、異なる素材を数秒で高強度に接合できる異種材料接合技術「WelQuick」を用いたフィルムタイプ接着剤の量産化検討を始めたと発表した。
昭和電工は2022年8月、異なる素材を数秒で高強度に接合できる異種材料接合技術「WelQuick」を用いたフィルムタイプ接着剤の量産化検討を始めたと発表した。同接着剤は、長時間の高温加熱が必要だった従来の液状接着剤と比べて工数や電力消費の削減につながり、生産時の二酸化炭素(CO2)排出量を削減できるという。
これまで同社は、2021年から同製品のサンプル出荷を展開。「脱炭素ニーズの高まりを受け、CO2排出量削減に貢献する材料の需要拡大が見込まれることから、今回の量産化検討に踏み切ることにした」(同社)とする。
量産化検討を始めた製品は、フィルム形状で固体と液体間の相変化を利用して接着するため、既存の液体接着剤と比べて取り扱いが簡便という特長を持つ。また、数秒の加熱、加圧で強固に接着でき、マルチマテリアル化に対応する。ボルトやネジを使った接合と比べても工数を削減できる他、従来接着剤のように数十分というような長時間の高温加熱で硬化させる必要もなく、「生産時間、電力消費量の削減にも寄与、CO2排出量の削減が実現する」(同社)
同社では、これまでの用途開発により、自動車材料分野および、電子材料分野でさまざまな課題の解決に貢献することを確認した。
例えば、自動車材料分野では、バンパーの骨組み材の複合材料と車体との接着や、電気自動車/ハイブリッド車のインバーターやモーター周辺の金属端子と樹脂の接着、密閉など、多くの用途が確認できたという。電子材料分野においては、ロール状のプリント基板を量産する過程で材料同士をつなぐ際、従来の粘着テープと比べて、短時間加熱するだけで再現性の高いつなぎ作業が完了することを確認。さらに、粘着性のないフィルムであるという特長から、粘着剤に含まれる揮発性有機化合物(VOC)が製品に溶け込むことがなく、環境への負荷を抑えられることも分かったという。
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