昭和電工は、量子コンピューティング技術を活用し、半導体材料の最適な配合探索に要する時間を、数十秒に短縮できることを実証した。探索時間の大幅短縮に加え、探索で得られた半導体材料は、性能が約30%も高くなることが分かった。
昭和電工は2022年2月、量子コンピューティング技術を活用し、半導体材料の最適な配合探索に要する時間を、数十秒に短縮できることを実証したと発表した。探索時間の大幅短縮に加え、探索で得られた半導体材料は、性能が約30%も高くなることが分かった。
半導体材料は、樹脂やフィラー、添加剤など多数の材料をさまざまな比率で配合している。その種類や配合比率を最適化することによって性能が向上する。ただ、配合の組み合わせは膨大となる。同社の場合でも、配合の組み合わせは理論上1050を超えるという。
同社はこれまでも、AI(人工知能)技術を用いて最適な組み合わせを探索していた。しかし、従来方式だと最適な配合を求める処理に数十年以上が必要となるため、実際には理論上の組み合わせの一部だけを抽出して探索していたという。
今回は、富士通の高速情報処理技術である量子インスパイアード技術「デジタルアニーラ」に注目。これを活用するために、材料の複雑な配合条件から半導体材料の特性を予測できる独自開発のAIモデルを、イジングモデルで表現した。
デジタルアニーラを用いて、最適な配合の検索を行った。配合の種類と量を限定した条件下で探索を行う従来のAIモデルのみを用いた場合に比べ、探索の処理時間を約7万2000分の1に短縮することができた。得られた半導体材料の性能も約30%向上したという。昭和電工は今回の成果を、グループ各社のさまざまな素材開発に応用していく計画である。
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