もちろん、QualcommがNuviaを買収したのには正当な理由がある。Nuviaの技術を今後開発または使用する予定がないのに、10億米ドル以上を費やすことはありえない。
Krewell氏は、「QualcommがNuviaを買収したのは、Armの『Cortex』CPUコアがAppleのCPUコアと競争力があるとは思えなかったからだ」と述べる(AppleもArmのALAを保有しており、同社のM1シリーズはArmのカスタムコアを使用している)。「私は、QualcommがNuviaチームを買収したのは、設計とチームの両方のためだと考えている。また、特定の新しいプロセスノードと市場セグメント向けに設計を更新する必要があり、そのために元の設計に大幅なアップデートが必要になるとも考えている」(同氏)
顧客に対する訴訟は、Armの競合(特にRISC-V)を利することにならないだろうか? Armの申し立てはArmの技術をベースにカスタム設計されたコアの開発と認証がいかに難しいかを明確にしている。また、Armの許可なくArmベースのIPで好き勝手ができないことも明確に打ち出した形になった。
Krewell氏は、「今回の件は、特に新興企業にとって、Armのアーキテクチャライセンスの機会を損なうものだ。RISC-Vにはアーキテクチャライセンスがないため、ライセンスの制約で販売を止められるようなサードパーティーは存在しない。Armアーキテクチャのライセンス先が、Armのエコシステムへの貢献について、Armと同じほど重視しているとは思えない」と述べた。
IPOの準備をしながら、なぜ訴訟を起こすのか? これは、Armの体制整備の一環なのだろうか。
Krewell氏は、「ArmはIPを保護し、収益を最大化していることを示す必要があるだろう。これは主に契約法の問題になる。両社ともIPライセンスに関して豊富な経験を持ち、強力な法務チームを持っている。われわれは今回の件が裁判になる前に決着がつくことを期待している」と述べた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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