Calumet Electronicsは、米国で最初のIC基板サプライヤーの1つとなり、米国内のエレクトロニクスサプライチェーンにおける重大な空白を埋める支援をするための取り組みを進めている。
Calumet Electronics(以下、Calumet)は、米国で最初のIC基板サプライヤーの一つとなり、米国内のエレクトロニクスサプライチェーンにおける重大な空白を埋める支援をするための取り組みを進めている。
同社のCOO(最高執行責任者)を務めるTodd Brassard氏は、米国EE Timesの独占インタビューで、「Calumetは、スケーラブルなIC基板を米国に供給する最初の企業の一つになりたいと考えている。当社は約3年間、この技術を開発してきた。防衛および商業メーカー数社と協力し、最初の基板のデモビルドをほぼ完了した。まだ生産に入ってはいない段階だが、既に年間150万ユニット以上の潜在需要が見込まれている」と述べている。
年間100億米ドル規模の集積回路基板産業は、全てアジアにある。米国政府は最近可決されたCHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)の下、エレクトロニクスエコシステムの再構築を目指しているが、業界の専門家によると、IC基板は米国内サプライチェーンで最も脆弱な分野の一つとして残り続ける可能性が高いという。
チップの小型化が進む一方で、ICを実装するプリント基板(PCB)の小型化は遅れている。IC基板はインターポーザとして機能し、チップの高密度なIO接続とPCBの広いラインピッチ幅の橋渡しをする。製造エコシステムにIC基板がなければ、米国では、特に防衛システムに使用する電子機器の不足によって、完全なサプライチェーンを構築できなくなる。
Brassard氏は、「当社は、主要な防衛および商業機器メーカーと取引しているが、これらの企業は米国内の調達オプションがほとんどまたはまったくなく、アジアのサプライチェーンから調達せざるを得ないため、リスクは増大の一途をたどっており、設計上の解決困難な課題を抱えている。一方で、革新的な技術を有する米国内の材料および化学サプライヤーや、機器メーカーは結集して、その解決の一部を担おうとしている。その中間に位置するのがCalumetのようなファブリケーターだ。われわれには、業界の専門家と密接に協力して、新たなソリューションをつなぎ合わせるという責務がある」と述べている。
Calumetは、セミアディティブ法を適用して銅配線を形成したIC基板を製造している。
グローバルエレクトロニクス協会IPCのチーフテクノロジストを務めるMatt Kelly氏は2022年3月に、「米国は基板においてアジアに25年も遅れている」と述べている。
IC基板の主要サプライヤーは、台湾のUnimicronとASE Group 、日本のイビデン、中国のSCCだ。市場ウォッチャーであるMordor Intelligenceによると、Unimicronは2022年、先進的なフリップチップ基板の研究開発と生産能力の拡張に7億米ドル以上を投資するという。
IPCは、2021年11月に発表した最新レポートの中で、「北米には、最先端のFCBGA/FCCSP基板を生産する能力がない。FCBGA分野のプレーヤー企業になるためには、少なくとも10億米ドル規模の投資が必要だ」と述べている。
また、同レポートによると、北米では基板を供給できないため、米国産の半導体チップをアジアに出荷してからまた米国に送り返さなければならず、事実上、サプライチェーンが長くなっているという。
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