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「2030年までに1兆トランジスタ」繰り返し強調するIntel CEOHot Chips基調講演(2/2 ページ)

» 2022年10月04日 09時30分 公開
[Ilene WolffEE Times]
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苦境のIntelが期待を寄せるCHIPS法

 一方でIntelは、米国オハイオ州に2つの半導体工場を建設すべく、200億米ドルを投じる予定だ。Gelsinger氏はこれを、「『シリコンハートランド(Silicon Heartland)』の実現に向けた出発点になる」と述べている。

 バイデン大統領が2022年8月、米国ワシントンD.C.において、米国ハイテク業界の経済開発の促進に向けて500億米ドルを投じる「CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act 2022)」に署名した。この時、Gelsinger氏もその場にいたという。

 Gelsinger氏は、「第二次世界大戦後で最も重要とされる産業政策法案が成立した。CHIPS法によって米国政府は半導体業界に対して全面的な支援が可能となる。半導体製造分野への過去最大規模の投資や、今後数十年間をかけて行っていく大規模な科学資金提供の一環である『国立半導体技術センター(National Semiconductor Technology Center:NSTC)』の創設などだ」と述べる。

 Gelsinger氏が言及した「科学資金」とは、米国立科学財団(National Science Foundation:NSF)が、技術やイノベーション、パートナーシップなどを手掛ける委員会を設立するために割り当てる資金のことである。ホワイトハウスのファクトシートによると、半導体や高性能コンピューティング、最先端通信技術、最先端エネルギー技術、量子IT、バイオテクノロジーなどの分野に注力することを目指すという。

 Gelsinger氏は、「半導体業界と米国にとっては、投資やコミットメント、プライオリティなどに大きな影響力が及ぶだろう。『世界は半導体で動いている』という考え方が重要なのは明らかだ。それは、これまでに誰もが目にしてきた、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる危機や半導体不足などからも分かるだろう。このような重要な法案を、従来の枠を超えて策定する上で、大切な要素だったといえる」と述べている。

スーパーパワーの時代

 「半導体の役割に関するこのような考え方を、『スーパーパワーの時代』と名付けたい。超大国を意味するスーパーパワーではなく、“技術のスーパーパワー”である」(Gelsinger氏)

 同氏は、「スーパーパワーとしては具体的に、コンピュートとコネクティビティ、インフラ、AI(人工知能)が挙げられる。いずれもそれ自体が非常に強い力を持っているが、組み合わせることによって増幅し、相互に補強し合うことで、指数関数的な影響を及ぼす存在になる」と述べる。

 Gelsinger氏は、この主張について、それぞれ以下のように説明していた。

コンピュート

 現在では、文字通りあらゆるものがコンピュータになりつつある。デスクトップPCだけでなく、サーモスタットや電球など、全てのものがコンピュータになろうとしている。Intelが今から50年前に、世界初の商用マイクロプロセッサ「4004」を発表してから、保存プログラムやコンピューティング機能などの考え方が出現し、あらゆるものがコンピュータに対応可能になった。

コネクティビティ

 接続や共有の他、人間だけでなく今存在するモノのインフラや伝導性などのあらゆる側面を統合可能にすること。現在、約60%がインターネットへのアクセス手段を持っているが、2030年までには90%に達するだろう。そして今や、人だけでなく、モノも同様に接続されるようになった。

インフラ

 クラウドの出現により、インフラの拡張が可能になった。クレジットカードを使えば、まさに一夜にしてスパコンを購入することも可能だ。この拡張性は、低遅延/低帯域のインフラを実現するエッジと組み合わされるようにななった。そして、拡張性とエッジの組み合わせにより、文字通り、高性能でスケールの大きなインフラ機能に無限にアクセスできるようになった。

AI

 膨大な量のデータを意味あるものにし、実用的な知見を生み出せるようにする能力がある。


 Gelsinnger氏は、「しかし、このウエハーファウンドリー時代の考え方は、私が『システムファウンドリー』と呼ぶものに道を譲りつつある。ラックはシステム化されつつあり、システムは、複数のダイやチップレットからなる高度なパッケージになりつつある。文字通り、システムは未来の高度なパッケージング技術になりつつあるのだ」と付け加えた。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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