Intelはこれまで数年間にわたり、NAND型フラッシュメモリとDRAMとの間のストレージ/メモリ階層を実現する技術として、3D XPointメモリの「Optane」を推進してきた。しかし2022年7月、同年第2四半期の業績発表の中で、そのOptane技術の開発を断念することについて、ひっそりと言及した。
Intelはこれまで数年間にわたり、NAND型フラッシュメモリとDRAMとの間のストレージ/メモリ階層を実現する技術として、3D XPointメモリの「Optane」を推進してきた。しかし2022年7月、同年第2四半期の業績発表の中で、そのOptane技術の開発を断念することについて、ひっそりと言及した。
米国の半導体市場調査会社Objective Analysisで主席アナリストを務めるJim Handy氏は、その知らせについて、「危うく聞き逃すところだった」と語っている。
Micron Technology(以下、Micron)も2021年3月に、3D XPoint技術を断念すると発表しているが、この時は声を潜めて明かすような様子ではなく、また、それほどの驚きもなかった。同社は当時、密接に連携しているパートナー各社と共有しているSSD以外に、3D XPointの商用製品を量産していなかった。
Handy氏は、「IntelがOptaneを断念すると明かしたことは、大きな驚きだった。だが、同社はここ1年の間、Optaneについて言及することを避けていたため、もう長くは続かない技術であることを示す兆候はあったといえる。こうした状況については全く前例がなかったわけではない。Intelは通常、生産ラインを段階的に廃止していく考えであることを示している。Optaneは明らかに、長い間黙殺されている状態だった」と述べる。
Optaneは、Intelに利益をもたらすことができなかった。
Handy氏は、「IntelがNANDフラッシュ事業部門をSK hynixに売却したということは、OptaneがIntelのデータセンター事業部門に移行したことを意味する。そして、IntelがいかにOptane事業で損失を出しているかがより明白になった。かなり大きな損失だったようだ」と述べている。
また同氏は、「Intelの場合、より収益性の高いプロセッサを開発し、その利益をOptaneの損失に充てられれば、損失は正当化できただろう。しかし、もしIntel以外がOptaneを開発していたとしたら、その企業はただただ、損をすることになっただろう」と付け加えた。
「3D XPoint技術は、利益に対する懸念がなければストレージ/メモリ階層の一部になっていただろう。だが、どんなに優れた性能のメモリ技術であろうと、費用対効果が優れていることが不可欠だ」(Handy氏)
Handy氏は、Coughlin AssociatesのフェローアナリストであるTom Coughlin氏と共同で、新型メモリに関する年次レポートを執筆している。両氏のモデリングから、Optaneは、成功のために必要な「規模の経済」を達成するのは難しいと分かったという。Handy氏は、「技術的機能は素晴らしいが、いつも成功を勝ち取るのは安価な方だ」と述べる。
【お詫びと訂正】掲載当初、本文中、「OptaneがSK hynixのデータセンター事業部門に移行した」とあったのは「Intelのデータセンター事業部門に移行した」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。(2022年8月30日午後5時15分/編集部)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.