エイブリックは、充電/放電過電流検出電圧精度が±0.5mVと高い1セルバッテリー向け保護IC「S-82Y1Bシリーズ」の販売を始めた。大容量化が進むバッテリーの急速充電を可能にし、応用機器の安全性も高めることができるという。
エイブリックは2022年10月、充電/放電過電流検出電圧精度が±0.5mVと高い1セルバッテリー向け保護IC「S-82Y1Bシリーズ」の販売を始めた。大容量化が進むバッテリーの急速充電を可能にし、応用機器の安全性も高めることができるという。
高機能スマートフォンなどでは、1回の充電で長時間使用を可能にするため、大容量リチウムイオンバッテリーを搭載する機種が増えてきた。また、急速充電に対応するため充電電流を大きくしたい、という要求も高まっているという。
ところが、充電電流を大きくすると、電流検出抵抗の発熱が大きくなってしまう。この対策として電流検出抵抗の抵抗値を下げる方法もあるが、検出電流値のばらつきが大きくなって安全性の確保が難しくなる可能性もある。これらの課題を解決するためエイブリックは、従来品(S-82P1シリーズ)に比べ、充電/放電過電流検出電圧精度をさらに高めたS-82Y1Bシリーズを開発した。
S-82Y1Bシリーズは、「放電過電流1」検出電圧が0.003〜0.050V、充電過電流検出電圧が−0.050〜−0.003Vで、これらの精度はいずれも±0.5mVである。保護ICの精度を高めることで、過電流検出のばらつきを抑えながら、電流検出抵抗の低抵抗化を可能にした。これにより、充電電流の値を大きくしても保護回路基板の発熱を抑えることができるという。
放電過電流保護は3段階で行える。放電過電流1の他、検出電圧が0.006〜0.100V±1.5mVの「放電過電流2」、同じく0.020〜0.100V±3mVの「負荷短絡」である。これによって、より安全な領域で異常電流を遮断することができる。なお、過充電検出電圧は3.50〜4.80Vで、その精度も±15mVと高い。
最大定格は28V、動作時の消費電流は最大4.0μA、パワーダウン時の消費電流は最大50nA、動作温度範囲は−40〜85℃である。パッケージは、外形寸法が1.6×1.8×0.4mmのHSNT-6または、1.57×1.8×0.5mmのSNT-6Aで供給する。
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