SiC(炭化ケイ素)はもはや、単なるニッチ技術ではない。世界中のメーカーが近年、SiC技術への投資を進めていることからも、その重要性が分かるだろう。また、CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)の制定により、その提供資金の大部分が、SiCを含むとする新しい半導体技術を適用した生産を拡大するために割り当てられる予定だ。このように現在急激に活用が進んでいるSiCは、今後どこに向かって進んで行くのだろうか。
SiC(炭化ケイ素)はもはや、単なるニッチ技術ではない。世界中のメーカーが近年、SiC技術への投資を進めていることからも、その重要性が分かるだろう。また、CHIPS法(正式名称:CHIPS and Science Act)の制定により、その提供資金の大部分が、SiCを含む新しい半導体技術を適用した生産を拡大するために割り当てられる予定だ。このように現在急激に活用が進んでいるSiCは、今後どこに向かって進んで行くのだろうか。
SiCが最初に使われたのは、電気系統の避雷器だった。その後長年にわたり、電気用途において活用されてきたが、半導体として使われるようになったのはごく最近のことである。実際に、SiCが半導体材料としての勢いを増すようになったのは、1990年代に入ってからだ。SiCのワイドバンドギャップ特性を生かし、高電力システム向けのFETやMOSFETなどで利用されるようになってきたのである。現在、極めて高い電圧や温度、高速スイッチング周波数などにも耐えられる電力コンポーネントを必要とする技術が普及したことにより、SiCは、より堅牢な半導体材料を探し求めている設計エンジニアたちから支持される選択肢となっている。
米国EE Timesは今回、Microchip Technology(以下、Microchip)のエンジニアであり、SiCパワーソリューション部門担当シニアマネジャーを務めるOrlando Esparza氏と、かつてArrow Electronicsでアプリケーションエンジニアを務め、現在はNimble GravityのエンジニアであるZachariah Wendt氏に、インタビューを行った。SiC技術の活用拡大や、今後SiCアプリケーションに何が待ち受けているのかといった点などについて、話を聞くことができた。
Microchipのようなメーカーにとって、SiCは大きなビジネスチャンスをもたらす存在だ。同社は2018年に、戦略的な動きの一環としてMicrosemiを買収している。Microsemiは、データセンター/防衛用途向け市場において強力な存在感を示すとともに、ターンキーSiC事業を展開していた企業だ。Microchipは、101億米ドルを投じたこの買収によって、SiC市場において即座に足掛かりを得ることができた。
Esparza氏は、「Microchipは二十数年という長期間にわたり、パワーマネジメント市場に携わってきた。私が2000年に入社した当時、数種類のアナログ製品しかなかったが、買収や成長により、100V未満の低電圧分野において大きな進展を遂げてきた。しかし、2018年にMicrosemiを買収したことで、高電圧分野の技術も手に入れることができた。当社のSiCグループは、そこからスタートしたのだ」と述べている。
SiC市場は、世界的に受け入れられるまでに時間がかかったが、世界中のエンジニアたちが、高電力/高電圧半導体の選択肢としてSiCを採用するようになり、今や、クリティカルマス(製品の普及が爆発的に跳ね上がる分岐点)に達したといえるだろう。コンサルティング会社であるGrand View Researchのデータによると、SiC市場の市場価値は、2021年には約29億6000万米ドルだったが、2030年までには年平均成長率(CAGR)11.7%で急成長する見込みだという。
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