とりわけ強みを持つのが後工程の分野だ。積層基板やパッケージ/封止材などを手掛ける同社は「後工程用材料では世界トップの位置にある」(真岡氏)
これまで半導体業界は、配線の微細化など主に前工程の技術進化による性能向上が注目されてきた。ただ、同分野の進化が物理的、コスト的に限界を迎えつつあることから、ここ数年は後工程での技術革新に焦点が当てられるようになっている。3次元実装やチップレットがその一例だ。後工程分野に強い同社にとって、ますます追い風が吹くことになる。
こうした流れを受けて、投資にも力を入れる。同社は今後5年間で2500億円超を投資する計画だ。直近の設備投資では、昭和電工マテリアルズが2022年9月に半導体パッケージ基板用銅張積層板の生産能力の増強を発表。昭和電工は同月に、韓国での半導体製造用高純度ガスの貯蔵能力を2倍に増強すると発表した。半導体・電子材料事業の売上高は、2021年12月期から2030年12月期にかけてCAGR10%超で成長する見込みだ。「この成長に向けて、製品ポートフォリオの組み換えや変更も製品単位レベルで常に行っている」(真岡氏)
他社との協業も積極的に進める。2019年には、半導体パッケージの先端技術を関連企業と共同開発する「パッケージングソリューションセンタ」を川崎市に開設。「海外顧客にも、同センタの有用性が認められている」(真岡氏)という。昭和電工マテリアルズが主導し、国内の半導体材料/装置/基板メーカー12社が参加するコンソーシアム「JOINT2」の取り組みも進めている。
米中対立をはじめとするデカップリング(分断)が進むなど、半導体業界を取り巻く事業環境は厳しくなりつつある。真岡氏は「今の状況は、どの企業にとっても難しい」とした上で、「“これを持っていると強い”という、コーナーストーンとなる製品/技術をおさえつつ、半導体IDM(垂直統合メーカー)やファウンドリーの動きを見ながら事業戦略を立てていく」と語った。
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