米国の調査会社Gartnerは2022年11月28日(米国時間)、世界半導体市場予測を発表した。同社は、2023年の世界半導体売上高が、前年比3.6%減の5960億米ドルになると予測している。
米国の調査会社Gartnerは2022年11月28日(米国時間)、世界半導体市場予測を発表した。同社は、2023年の世界半導体売上高が、前年比3.6%減の5960億米ドルになると予測している。同社の調査担当バイスプレジデント、Richard Gordon氏は、「世界経済の急速な悪化と消費者需要の減退が2023年の半導体市場に悪影響を及ぼすだろう」と語っている。
なお、2022年の世界半導体売上高は、前年比4%増の6180億米ドルに達する見込みだ。
現在、半導体市場は、コンシュマー向け市場とエンタープライズ向け市場の二極化が進んでいる。同社によると、このうちコンシューマー向け市場において、世界的なインフレや金利上昇による可処分所得の減少に加え、個人消費が旅行や娯楽など他の分野にシフトしていることが大きな要因となり、市場が低迷しているという。
一方、企業向けネットワーキング、企業向けコンピューティング、産業、医療、商業輸送などのエンタープライズ向け市場については、マクロ経済の減速や地政学的な懸念の高まりにもかかわらず、現状は比較的堅調に推移。Gordon氏は、「エンタープライズ向け市場は、在宅勤務や事業拡大、デジタル化戦略推進に向けた企業のインフラ強化への戦略的投資により、比較的堅調に推移している」と説明している。
2021年 | 2022年 | 2023年 | |
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売上高 | 5950億米ドル | 6180億米ドル | 5960億米ドル |
成長率 | 26.3% | 4.0% | ▼3.6% |
出典:Gartner(2022年11月) |
Gartnerは2022年のメモリ市場について、「2022年の残りの期間、メモリ市場は需要低迷や在庫増加、顧客からの大幅な価格引き下げの要求に直面している」と説明。この結果、2022年のメモリ市場は横ばいで推移し、2023年には前年比16.2%減と大幅なマイナス成長になると予測している。
同社によると、世界経済見通しの悪化がスマートフォンやPC、家電の生産に悪影響を及ぼし、「2022年の残り期間から2023年第3四半期にかけ、DRAM市場が供給過剰になる」という。その結果、2022年のDRAM売上高は前年比2.6%減の905億米ドル、2023年には同18%減の742億米ドルにまで下落することを予測している。
NAND型フラッシュメモリについては、「2022年第1四半期に発生したNAND工場の停止が価格を上昇させ、急速に悪化する需要環境を覆い隠した。結果、2022年第3四半期に過剰在庫となり、これが2023年前半まで持ち越すと予想される」と説明。2022年の売上高は前年比4.4%増の688億米ドルとなる一方、2023年には13.7%減の594億米ドルとなると予測している。
Gordon氏は、「マクロ経済環境の悪化によって消費者需要は弱まるが、企業投資による半導体消費は比較的好調に推移すると予想される。その結果、産業、通信インフラ、データセンターなどの市場は、短期的には消費者心理や消費の影響を受けにくくなるだろう」と述べている。
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