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新たな局面を迎えつつある新興メモリFRAMとReRAMに高い注目度(3/3 ページ)

» 2022年12月27日 11時30分 公開
[Gary HilsonEE Times]
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市場成長が予測される組み込みReRAM

 Weebit Nanoは2020年に、ディスクリートReRAMの開発を加速し始めた。その当時の要因としては、潜在顧客からの需要が切迫していたことや、NORフラッシュが微細化の限界を迎えつつある中でディスクリートReRAMがその代替となるチャンスが現実的になってきたことなどが挙げられる。同社のCEOであるCoby Hanoch氏はかつて、EE Timesの取材に応じ、「組み込みReRAMの売上高を、セレクターをはじめとするディスクリート分野の進展のための資金源としていく予定だ。一方、ニューロモーフィックコンピューティングアプリケーションの実現に向けた投資機会は、長期的なチャンスだとみている」と述べていた。

SkyWaterの工場で量産されたWeebit NanoのReRAMモジュールのウエハー写真[クリックで拡大] 出所:Weebit Nano

 またBriman氏は、「Weebit NanoのReRAMは、InfineonのFRAMと同じく産業グレードであるため、自動車/航空宇宙分野などの過酷な環境において、特にフラッシュでは放射線に対応することができないような場合に極めて有用である。放射線耐性や高温耐性が非常に優れている」と述べる。

 「この他にも、フランスの市場調査会社Yole Groupが発表した研究によると、組み込みReRAM市場は今後5年間で、10億米ドル規模に達する見込みだという。現在、ファウンドリーやIDM(垂直統合メーカー)などから大きな注目が集まっている」(Briman氏)

 Briman氏は、「ReRAMにとっての最初の難関は、より先端のプロセスノードへの移行を継続していくことだ。Weebit Nanoは近々、22nmプロセスノード/8Mビットメモリモジュールをテープアウトする予定だが、既に、より高度なプロセスノードの適用も検討している。しかしどのプロセスノードでも、それぞれ独自の技術認定が望まれている他、微細化を進めるにあたって、確実な信頼性と耐性を実現しながら、メモリセルの電流/電圧を維持していく必要がある。このため、まだ数々の技術的課題が待ち受けている。市場に参入していく上で、まずはメモリアレイが比較的小型である組み込み市場からスタートするのが良い方法ではないだろうか。同市場には、十分な規模の市場機会が開かれている」と述べる。

 Coughlin氏/Handy氏のレポートによると、現在のところWeebit Nano製品の他にも、数種類の特定用途向けReRAMデバイスが存在するという。例えばCrossBarは、40nm ReRAMのサンプル出荷を開始している。同社のファウンドリパートナーであるSMICが、MicrosemiとMicrochip Technologyから技術ライセンス供与を受けて製造したという。

 CrossBarはごく最近、同社の技術を、セキュアなコンピューティングアプリケーションで生成可能な、ReRAMをベースとした物理複製困難関数(PUF:Physically Unclonable Function)の暗号化キーの形式で、ハードウェアセキュリティアプリケーション向けに適用することに注力しているという。このような暗号化キーは、決して新しいものではないが、現在ますます注目を集めている。その背景には、オンラインバンキングやIoTの登場によって、銀行カードや決済端末などの専用の電子デバイスに向けたデジタルセキュリティの枠を超え、さまざまなチャンスが生み出されているということがある。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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