キーサイトによれば、将来的に、トランスミッターやレシーバーの設計にはAI/MLが活用されていくという。5GではAIは追加的に使われた技術だったが、6Gでは活用が前提とされている。使用環境や用途に合わせてAIがリアルタイムで情報を処理し、設計を最適化できるようになれば、設計環境は大きく進展する。
また、xGが発展するにつれ通信精度は向上するものの、消費電力も増加し環境負荷が大きくなる。AIの使用により無線インタフェースの最適化だけでなく、さまざまな場面で通信精度と電力効率の両立が可能になる。「キーサイトはxGの電力消費の約50〜70%を占める基地局のパワーアンプや空調などの省エネ化で環境負荷の軽減に貢献する」(Roger氏)
デジタルツインでは、リアルとデジタルの双方のデータを融合させることでゲームやSNSだけでなく、工場や街づくりなど「あらゆるもののバーチャルレプリカ」を作る。6Gはデジタルツインの単なるアウトプットだけでなく、リアル/デジタルのデータ収集の段階から活用することでデジタルツインそのものの質も向上させる。
6Gでは衛星や地上のネットワークだけでなく、水中や地中に至るまで新しいネットワーク通信を実現する。6G RANは仮想化や高度化が進み複雑化していく中で、複数のネットワークエレメントの中でAIが活用されていくと予想される。
Roger氏はキーサイトの6G戦略について「1Gから5GまでxGのリーダー企業として歩んできたので、6G以降も(このポジションを)継続していきたい。今までも必要な技術やノウハウをM&Aで取得することで事業範囲を広げてきたので、6Gにおいても必要に応じて(M&Aは)検討するつもりだ」と述べた。日本市場については「日本は6Gを定義する上で非常に重要な場所だ。地理的特徴として島国かつ大都市と農村地帯が共存しており、文化的特徴としては電車通勤が多くみられ、何より顧客からの期待値が非常に高い。加えて、『IOWN Global Forum』をはじめ複数のコンソーシアムが創設されて、6G開発も活発に行われている」と重要性を語った。
6Gも見据えたハイエンド変調信号源、キーサイト
英国で高まる6G研究の機運
「6G」の議論が進む、テラヘルツ波の活用も視野に
6G成功にはミリ波帯5Gのインフラ普及が不可欠
NTT、2023年3月に「IOWN」サービスを提供開始Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング