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CEATEC 2022 特集

空中ディスプレイの展示相次ぐ、CEATEC 2022リアル開催こその展示

2022年10月18日に開幕した展示会「CEATEC 2022」を象徴的する展示の1つになりそうな「空中ディスプレイ」に関する展示を紹介する。

» 2022年10月18日 11時10分 公開
[半田翔希, 竹本達哉EE Times Japan]

 2022年10月18日に開幕した展示会「CEATEC 2022」(会場:幕張メッセ/会期:10月21日まで)。開幕前日の10月17日には、同展示会に出展される製品/サービスの中から優れたものを表彰する「CEATEC AWARD」が発表された。

 今回は、11つの製品/サービスが表彰されたが、そのうち2つが「空中ディスプレイ」に関する製品/サービスが受賞した。1つは、京セラの「高精細 空中ディスプレイ」(トータルソリューション部門準グランプリ)。もう1つがアルプスアルパインの空中表示/入力デバイス「ステルス空中インターフェース」(トータルソリューション部門準グランプリ)だ。

左=京セラの「高精細 空中ディスプレイ」/ 右=アルプスアルパインの空中表示/入力デバイス[クリックで拡大]

 何もない空間に映像を結像させる空中ディスプレイは、写真や映像ではなかなか伝わりにくく、実際に目にしてみないと伝わりにくい。3年ぶりにリアル開催が復活したCEATECにふさわしい展示とも言え、今回の象徴的な展示の1つになりそうだ。そこで、CEATEC AWARDを受賞した2つの空中ディスプレイを紹介する。

京セラ「高精細 空中ディスプレイ」

 京セラブースに展示された「高精細 空中ディスプレイ」は、独自設計のミラーを折りたたむように配置し、小型化と高精細・高画質の両立を可能にした。ミラー配置の工夫により、用途に合わせて飛び出し距離の調整も可能だ。モデルデータは3D/2Dの双方に対応し、取り込んだデータは指で動かせる。

「高精細 空中ディスプレイ」の概要[クリックで拡大]出所:京セラ

 既存の空中ディスプレイは精細度が低く、コンビニでの決済やホテルのチェックインなど用途が限られていた。今回、ミラー形状の最適化によって、課題であったミラーによる歪み解消や装置の小型化に成功した。これらの改良によって、用途の拡大が見込め、CEATEC AWARDでもこうした多用途性が評価されて受賞に至った。

左:机型、中央:設置型、右:埋め込み型[クリックで拡大]

 京セラでは「思わず触りたくなる感動体験」の提供を目標に、高精細映像が不可欠な医療分野やエンタメ分野など幅広く活用を想定し開発を進め、2026年までの量産体制構築を目指す。

アルプスアルパイン「ステルス空中インターフェース」

 一見、ただの大理石のようだが、手をかざして右から左へと動かすと、数字やボタンが浮き上がる――。

アルプスアルパインブースで展示された「ステルス空中インターフェース」のデモ

 アルプスアルパインブースで展示された空中ディスプレイは、非接触型ユーザーインターフェース(UI)に向けたもの。空中に映像を表示する技術は、宇都宮大学が研究している技術をベースにし、視野角が広い点が特長だ。

 空中ディスプレイは、映像を作り出す光源など光学部品が必要で、大掛かりな装置になる場合が多い。だが、アルプスアルパインが展示した非接触型UIはコンパクトで、光学部品が見当たらない。厚さ5cmほどの大理石のような板の中に、光学部品が内蔵され、外部からは見えないようにされているためだ。そもそも、大理石のような板は、大理石ではなく、大理石のような模様を印刷した特殊なパネルで覆っているもの。光学部品を隠すこの印刷技術が、非接触型UIの大きな特長だ。大理石模様の他にも木目調のものも展示され、さまざまな色や模様に対応している。

「ステルス空中インターフェース」の概要[クリックで拡大] 出所:アルプスアルパイン

 「空中ディスプレイの多くは、黒一色の背景が多い。ただ、UIとして空中映像に触れようとすると黒一色だと距離感がつかみにくい。模様があることで、距離感がつかみやすく、操作しやすいという効果がある」(説明員)という。

 また「空中表示技術としては、より高解像度でクッキリと表示できるのだが、あえて解像度を落としてぼやかしている。ぼやかした方が、より空中映像であると認識されやすいためだ」とし、UIとしての空中ディスプレイを追求している。

 空中映像に触れたかどうかは、アルプスアルパイン独自の高感度静電容量センサー「AirInput」を使用。表面から3cmほど浮き出た空中映像に指が触れたこと(=表面のパネル下にあるセンサーに指が近づいたこと)を検知し、非接触でのUIを実現している。

 アルプスアルパインでは、AirInputについては2024年ごろ、空中インターフェースとしては2025年ごろの量産を目指すとしている。

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