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バイオセンサの信号変換技術(前編)福田昭のデバイス通信(390) 2022年度版実装技術ロードマップ(14)(1/2 ページ)

前回に続き、第2項(2.3.2)「メディカル」の最後の項目、「バイオセンサ」を取り上げる。バイオセンサの主な信号検出原理を説明する。

» 2023年03月07日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

バイオ分子の変化を電気信号に変換

 電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を本コラムの第377回からシリーズで紹介している。

 本シリーズの第6回からは、第2章「注目される市場と電子機器群」の第3節(2.3)「ヒューマンサイエンス」より第2項(2.3.2)「メディカル」の概要を報告してきた。「メディカル」は4つの項目、すなわち「手術支援ロボット」(2.3.2.1)、「マイクロ流体デバイス」(2.3.2.2)、「感染症とPCR検査、遺伝子検査、迅速検査」(2.3.2.3)、「バイオセンサ」(2.3.2.4)で構成される。

 前回から、最後の項目である「バイオセンサ」(2.3.2.4)の概要を紹介している。バイオセンサは、バイオ分子(「プローブ」とも呼ぶ)と信号変換素子(「センサ素子」とも呼ぶ)の2つの要素によって構成される。バイオ分子(プローブ)は特定の化学物質(標的分子)を選択的に検出する(標的分子と結合する)性質を備えており、生体由来の材料が使われる。前回はバイオ分子の例には抗体(免疫グロブリン)や核酸アプタマー、酵素、分子インプリンティング、糖鎖、レクチン、Gタンパク質共役受容体、イオンチャンネル、イオノフォアなどがあることと、標的以外の分子による吸着を防ぐブロッキング膜を説明した。

「バイオセンサ」(2.3.2.4)の目次。「2.3.2.4.1 バイオセンサのプローブに用いられるバイオ分子」「2.3.2.4.2 夾雑物(きょうざつぶつ)の非特異吸着を抑止するためのブロッキング膜」「2.3.2.4.3 プローブやブロッキング膜のセンサ表面への固相化」「2.3.2.4.4 センシング信号検出方法(センサ素子)」「2.3.2.4.5 バイオセンサの課題」がある[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

 今回は、バイオ分子(プローブ)が目的の化学物質(標的分子)と結合したことを検知し、電気信号に変換する「センサ素子」の原理をご報告する。具体的には、「表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)」「水晶振動子マイクロバランス(QCM:Quartz Crystal Microbalance)」「電気化学インピーダンス測定(EIS:Electrochemical Impedance Spectroscopy)」「イオン感応型FET(ISFET:Ion-Sensitive Field Effect Transistor)」「グラフェンFET(Graphene Field Effect Transistor)」「表面増強ラマン散乱(SERS:Surface-enhanced Raman Scattering)」「ラテラル・フロー・イムノアッセイ(LIFA:Lateral Flow Immunoassays)」「蛍光共鳴エネルギー移動(FERT:Fluorescence Resonance Energy Transfer)」を挙げた。

バイオセンサの主な信号検出原理(センサ素子の原理)。ロードマップ本体から筆者がまとめたもの[クリックで拡大]
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