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メディカル分野の課題解決に貢献する実装技術福田昭のデバイス通信(382) 2022年度版実装技術ロードマップ(6)

今回からは第2項(2.3.2)「メディカル」の概要を報告していく。「メディカル」は「手術支援ロボット」(2.3.2.1)、「マイクロ流体デバイス」(2.3.2.2)、「感染症とPCR検査、遺伝子検査、迅速検査」(2.3.2.3)、「バイオセンサ」(2.3.2.4)の4つの項目で構成される。

» 2023年01月16日 11時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

手術支援ロボット、マイクロ流体デバイス、検査、バイオセンサの動向を解説

 電子情報技術産業協会(JEITA)が3年ぶりに実装技術ロードマップを更新し、「2022年度版 実装ロードマップ」(書籍)を2022年7月に発行した。本コラムではロードマップの策定を担当したJEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会の協力を得て、ロードマップの概要を第377回からシリーズで紹介している。

 前々回は、第2章「注目される市場と電子機器群」から第3節(2.3)「ヒューマンサイエンス」の全体構成を述べた。前回は、「ヒューマンサイエンス」の第1項(2.3.1)「ヘルスケアデバイス」の主題であるスマートウォッチに関する記述を説明した。

第2章第3節(2.3)「ヒューマンサイエンス」の目次 第2章第3節(2.3)「ヒューマンサイエンス」の目次。第1項「ヘルスケアデバイス」、第2項「メディカル」、第3項「人間拡張」で構成する[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

 今回からは第2項(2.3.2)「メディカル」の概要を報告していく。「メディカル」は「手術支援ロボット」(2.3.2.1)、「マイクロ流体デバイス」(2.3.2.2)、「感染症とPCR検査、遺伝子検査、迅速検査」(2.3.2.3)、「バイオセンサ」(2.3.2.4)の4つの項目で構成される。いずれも注目を集めており、なおかつ研究開発が活発な技術分野だ。

第2章第3節第2項(2.3.2)「メディカル」の目次 第2章第3節第2項(2.3.2)「メディカル」の目次。「2022年度版 実装技術ロードマップ」の書籍本体から筆者が作成したもの。最初の項目「手術支援ロボット」(2.3.2.1)は詳しい目次を掲載した。なお下線部は、完成報告会の講演で取り上げた部分を指す[クリックで拡大]

手術支援ロボットや5G通信などを駆使して遠隔手術を実現へ

 「手術支援ロボット」(2.3.2.1)では、日本の医療が抱える、社会の超高齢化や医師の不足、医療負担の増大、医療の地域格差といった課題の解決に寄与すると期待される技術を記述している。手術支援ロボットと5G移動体通信システム、人工知能(AI)、高精細カメラなどを組み合わせることによって、難度の高い手術のサポート、熟練外科医の手技データ継承、遠隔地でのリモート手術、オンラインでの診療、検査画像の診断支援などを実現する。

遠隔ロボット支援手術システムに必要とされる要素技術群 遠隔ロボット支援手術システムに必要とされる要素技術群[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)

先駆者「ダビンチ」の特許切れで手術支援ロボットの開発が急速に活発化

 商用化されている手術支援ロボットの代表は、Intuitive Surgical, Inc.の「da Vinci Surgical System(ダビンチ内視鏡手術支援システム)」シリーズである。米国カリフォルニア州サニーベール(シリコンバレーの一角)に本社を構えるIntuitive Surgical, Inc.(以降はIntuitiveと表記)は、1995年に手術支援ロボットの開発企業として設立された。1999年に初代機の開発が完了。2000年に米国の薬事承認を受けて最初の「da Vinci(ダビンチ)」手術支援ロボットを出荷した。2009年には日本でも薬事法の承認を受けて販売を始めた。

 以降、日本を含めた世界の手術支援ロボット市場で「ダビンチ」は主導的な地位を占めてきた。しかし2019年以降、数千件とも呼ばれるIntuitiveの保有する特許が相次いで失効し、2022年末までにはほとんどの特許が失効したとされる。

「da Vinci Surgical System(ダビンチ内視鏡手術支援システム)」シリーズの最新世代(第4世代)品である「Xi」のロボット外観(この写真はロードマップ本体には収録されていない)[クリックで拡大] 出所:Intuitive Surgical,の製品カタログ

 2019年以降の特許切れは、あらかじめ分かっていた。そこで2010年代後半から、特許切れを想定した手術支援ロボットの開発が国内外の企業や大学などで急激に活発化した。

(次回に続く)

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