次は「グラフェンFET(G-FET:Graphene Field Effect Transistor)」を説明しよう。グラフェン(Graphene)は炭素原子が正六角形を構成しながら平面状に連なった2次元材料であり、厚みが単原子層しかない。厚みに対する表面積の比率が極めて高く、周囲の環境変化に対して高い感度で性質が変化する。
グラフェンFETはグラフェン膜をFETのチャンネルとすることで、高感度のセンサを実現しようとする。シリコンのISFETとの本質的な違いは、グラフェンは炭素化合物であり酸化しにくい点にある。このため、グラフェンFETはチャンネルであるグラフェンを検体の水溶液と直に接触させて測定可能であり、この点からも高い感度を期待できる。
ゲート電極はISFETと同様に外部の参照電極となる。あるいは基板裏面の電極(バックゲート電極)も使われる。このような構造でゲート電極に電圧を印加するとドレイン電流が増加する。ゲート電圧は正負のどちらでも構わない。どちらの方向でもゲート電圧の増加とともにドレイン電流が増加する。
ここで水溶液のpH値(水素イオン指数)を変化させると、グラフェンチャンネル表面の電荷によって電圧電流特性がシフトする。この特性変化から、pH値を推測する。
「グラフェンFET(G-FET:Graphene Field Effect Transistor)」の構造(左)と測定原理(右)[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)このほかの原理は先述のように割愛した。本稿では「ラテラルフローイムノアッセイ(LIFA:Lateral Flow Immunoassays)」と「蛍光共鳴エネルギー移動(FERT:Fluorescence Resonance Energy Transfer)」の原理図を掲載するにとどめる。どうかご容赦されたい。
「ラテラルフローイムノアッセイ(LIFA:Lateral Flow Immunoassays)」の原理図[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)
「蛍光共鳴エネルギー移動(FERT:Fluorescence Resonance Energy Transfer)」の原理図[クリックで拡大] 出所:JEITA Jisso技術ロードマップ専門委員会(2022年7月7日に開催された完成報告会のスライド)⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧
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