世最大級のモバイル技術展示会「Mobile World Congress 2023(MWC23)」において、GSMA事務局長のMats Granryd氏らがオープンインフラストラクチャ、API、グローバルネットワークをつなぐための新たな方法に基づくモバイル業界の新戦略の概要を説明した。
世最大級のモバイル技術展示会「Mobile World Congress 2023(MWC23)」(スペイン・バルセロナ、2023年2月27日〜3月2日)で、GSMA事務局長のMats Granryd氏、TelefonicaのCEO(最高経営責任者)、Jose Maria Alvarez-Pallete氏、OrangeのCEO、Christel Heydemann氏は、「Earth Computing」のコンセプトに焦点を当てながら、オープンインフラストラクチャ、API(Application Programming Interface)、グローバルネットワークをつなぐための新たな方法に基づくモバイル業界の新しい戦略の概要を説明した。
Granryd氏は基調講演の中で、ネットワークならびにコネクテッド技術が消費者、企業、公共サービスにもたらす多大なメリットに焦点を当てつつ、モバイル業界の現況を概説した。また、過去3年で膨大に増えたトラフィックに対し、ネットワーク事業者が大きな混乱もなく対処できた理由についても言及した。
基調講演後、Granryd氏はGSMAの業界全体にわたる新たなイニシアチブとして、ユニバーサルネットワークAPIのフレームワーク「GSMA Open Gateway」について明らかにした。開発者はこのフレームワークにより、ネットワーク事業者のインフラやトラフィックの中核的な機能にアクセスするための新たなサービスを立ち上げられるようになる。Granryd氏はGSMA Open Gatewayについて、世界ワイヤレス市場における業界とステークホルダー間の協業を増やすための次のステップになると確信しているという。
Granryd氏は、「ネットワーク事業者の相互連結というコンセプトをAPIエコノミーに適用することで、開発者は識別、サイバーセキュリティ、請求といったサービスに対して、一度技術を利用するだけで、世界中のあらゆる事業者と統合できる可能性がある。これは、サービスの設計と提供の方法を根底から変えるものだといえる。1987年、13カ国の代表者が協力してモバイル音声サービスを調和させ、ローミングを実現させた。あれから35年がたち、GSMA Open Gatewayにはデジタルサービスに当時と同じような影響をもたらす可能性があると、私は確信している」と述べた。
GSMAによると、この新たなイニシアチブは、立ち上げとともに8種のユニバーサルネットワークAPIから開始する。その8種とは、「SIM Swap」「QoD」「Device Status(ConnectedまたはRoaming Status)」「Number Verify」「Edge Site Selection and Routing」「Number Verification (SMS 2FA」「Carrier Billing(Checkout)」「Device Location(Verify Location)」である。また、2023年中に、さらなるAPIの立ち上げを予定しているという。
これらのAPIは、Linux FoundationとGSMAが主導する開発者向けオープンソースプロジェクトである「CAMARA」によって定義、開発、公開される。
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