STMicroelectronicsと中国・三安光電が合弁会社を設立する契約を締結した。新会社ではSTMicroelectronicsのSiC(炭化ケイ素)製品を製造し、中国で急増する電気自転車(EV)や産業用電源用途のSiC製品需要への対応を目指す。
STMicroelectronics(以下、ST)と中国の化合物半導体メーカーの三安光電は2023年6月7日(スイスおよび中国時間)、中国の重慶に合弁会社を設立する契約を締結したと発表した。新会社では200mm SiC(炭化ケイ素)ウエハーを使ったSTのSiC製品を製造し、STの専用ファウンドリーとして中国で急増している電気自転車(EV)や産業用電源用途のSiC製品需要への対応を目指す。
新会社のSiC製品製造工場は2025年10月〜12月に生産を開始し、2028年のフル稼働を想定。また、新会社での製造ニーズに対応するため、三安光電は200mm SiC基板の製造施設を新設し運営する予定だという。新会社の設立費用は今後5年間の設備投資額約24億米ドルを含め総額約32億米ドルになる見込みで、STと三安光電両社の出資に加え、自治体の支援と融資によって調達される予定だ。
STの社長兼CEO(最高経営責任者)であるJean-Marc Chery氏は、新会社設立について「中国の主要パートナーと協力し、専用ファウンドリーを設立することは、中国顧客の需要に対応する上で最も効果的な方法だ。新設予定である三安光電の200mm SiC基板製造施設、新会社による前工程工場、深センにあるSTの後工程工場を組み合わせることで、STは中国の顧客に垂直統合型のSiCバリューチェーンを提供できるようになる」と述べた。
三安光電のCEOであるSimon Lin氏は「合弁会社の設立は中国市場におけるSiC製品の普及を大きく加速させるだろう。これはSiCファウンドリーとしての当社の目標達成に向けた重要なステップだ。新会社設立とSiC基板製造能力の拡大により、引き続きSiCファウンドリー市場をけん引していくことができると確信している」と述べた。
なお、合同会社の設立には規制当局の承認が条件となる。
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