STMicroelectronicsは、自動車部品大手ZF Friedrichshafenが2025年に量産開始予定の車載インバーター向けに、数千万個単位のSiCデバイスを供給する。2023年4月13日、両社がSiCデバイスの複数年供給契約を締結したと発表した。
STMicroelectronics(以下、ST)とZF Friedrichshafen(以下、ZF)は2023年4月13日(ドイツ時間)、SiC(炭化ケイ素)デバイスの複数年供給契約を締結したと発表した。ZFが2025年に量産開始予定の車載インバーター向けに、STが数千万個単位のSiCデバイスを供給する。
今回の契約によって、2025年からSTは、ZFが開発する車載インバーター向けに、第3世代SiC MOSFETデバイスを数千万個単位で供給する。特に、2025年に量産開始予定の欧州自動車メーカーのインバーターでの採用を予定している。ZFは、「当社はインバーターの設計を変更することなく、顧客の性能要件に合わせ、同デバイスを任意の数搭載可能だ」と述べている。
ZFはドイツに本社を置く大手自動車部品メーカーだ。2023年2月にはWolfspeedと戦略的パートナーシップを締結し、Wolfspeedがドイツ・ザールラント州に建設予定の200mmウエハーSiC工場に数億米ドル規模の投資を行うと発表。同時にWolfspeedとSiCの共同研究開発センターの設立計画も発表するなど、SiCパワー半導体関連のサプライチェーン強化や研究開発に注力している。
STは、SiCパワー半導体市場で高いシェアを有する主要メーカーだ。同社はイタリアとシンガポールの2拠点でSiC製品を製造し、中国、モロッコの後工程拠点で組立とテストを行っている。2022年10月にはイタリアの拠点にSiCエピタキシャルウエハーを量産する新工場の建設も発表した。「2024年までに40%の自社基板調達を達成する」という目標を掲げ、垂直統合型の体制を強化している。
ZFの取締役会メンバーでエレクトロモビリティおよび材料管理担当のStephan von Schuckmann氏は「今回の契約によって、当社はサプライチェーンを強化し、顧客に確実に供給可能となる。2030年までの当社のエレクトロモビリティ分野の受注額は現在300億ユーロを超えている。この規模の受注に対し、SiCデバイス関しては複数の信頼できるサプライヤーが必要だ」とコメント。STについて、「複雑なシステムに関する経験があり、当社の要求を満たし、何よりも非常に高品質で必要な数量のデバイスを生産できるサプライヤーだ」と評している。
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