オムロンは、今回の体制刷新に合わせ、もともと主にスイッチやコネクターなどを生産する工場棟だったという同事業所の3階建て(延床面積約9000m2)の「2号館」を改装。「コンカレント開発をより効果的に進めるための強力な開発プラットフォーム」を構築したという。今回、同社は、この2号館を含む岡山事業所を報道陣に公開した。
2号館3階にあるのは、ディスカッションによってコラボレーションを加速する「共創エリア」だ。約3000m2あるフロアの半分近くを占めていて、『ファミリーレストランの座席』のようなボックス席や自由に動かせるいすや机、モニターが置かれたスペースで自由に打ち合わせが可能な他、プロジェクト化したテーマ専用に、ガラスで区切られた個別のブースも用意されている。
ここには開発メンバーだけでなく、技術開発や生産技術担当者、場合によっては顧客も訪れて議論を行っていくのだという。説明担当者は、「単に人を集めただけでは新しい価値を生むことはできない。このエリアは、知と知がつながり、新しい価値を生むきっかけを作るために構築した場だ」と述べていた。
2号館2階には、開発者が製品を試作し簡単な評価などを行う「実験室エリア」が広がっている。ここでは、6拠点から集められたさまざまな実験設備を配置していて、技術者たちが、時には部門の枠を超えて集まり各種実験を行っている。
報道公開時には、電動スクーターのリバースエンジニアリングが行われていたが、ここでも複数部門の技術者が集合していたという。説明担当者は、「従来ならリレーやスイッチなどの部門で拠点が分かれていたため困難だったことが、現在は簡単に集まって実施可能になった。これによってさまざまなな価値提案の機会が増えていくだろう」と述べていた。
また、開発時に生じる各種課題解決に向けたディスカッション用のスペースも設置。「開発の過程ではさまざまな問題が出てくるが、そうした問題を『みんなで寄ってたかって解決しよう』というコンセプトだ」と説明していた。
2号館1階は、製品の評価/試験を行う「品質検証エリア」だ。ここでも各拠点から集められた評価/試験設備が並べられていて、マウス用スイッチの耐久性やハンダ耐熱性評価、環境試験などが行われていた。
同社は2号館改装を含む今回の岡山事業所での新体制構築に、約10億円を投じたという。なお、同事業所にあった工場設備は、鳥取県倉吉市の拠点に移転されている。
研究開発拠点集約の場所として岡山事業所を選定した理由については、京都にある本社からのアクセスが良いことのほか、全技術者を迎え入れるための場所の確保やインフラ活用の観点などから「総合的に判断した結果」だという。
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