「AI(人工知能)ソフトウェアとその業界は非常に大きく、複雑になっている。その不便な状況を改善し簡略化するためには、標準規格が必要だ」――。これは米国EE Timesが開催したイベントにおいて、業界の企業幹部らが、発した重要なメッセージだ。
「AI(人工知能)ソフトウェアとその業界は非常に大きく、複雑になっている。その不便な状況を改善し簡略化するためには、標準規格が必要だ」――。これは、米国EE Timesが最近開催した「AI Everywhere Forum」内で実施した、開発者の問題点の特定と解決に関するパネルディスカッションにおいて、参加者から発せられた重要なメッセージだ。
embedded.comの編集長およびEE Timesの記者で、同フォーラムのパネルモデレーターを務めたNitin Dahad氏は、「tinyML(超低消費電力の機械学習)からスーパーコンピュータまで、全てのAIシステムにはソフトウェアが必要だが、業界全体のAIソフトウェアの状況にばらつきがあることは否めない」と述べ、「開発者が今日、AIソフトウェアスタックで直面している最大の問題点は何だろうか? 全てのアプリケーションに共通する問題は何で、どこから修正を始めるべきなのだろうか?」と問いを投げかけた。
「標準化は修正の始まりかもしれない」。これは、複数のパネリストが述べていたことだ。
スコットランドのソフトウェア会社CodeplayのCEO(最高経営責任者)で、Intelが同社を買収した後Intelのバイスプレジデントに就任したAndrew Richards氏は、「業界標準が作成されれば、AIソフトウェアをつなぎ合わせることが可能になる。USBやWi-Fiのように、設計企業や技術、スキルセットが異なっていても、それらを連携できるようになるのだ」と述べている。
Richards氏や、同席したパネリストたちは、他にも次のような問題を抱えている。
Richards氏は、「私の見解では、これら全ての問題に対する答えは業界標準だ。そして、それは当社がSYCLやoneAPIプロジェクトで行っていることであり、他の標準規格で行ってきたことだ。これらによって、さまざまなセクターでの連携が可能となっている」と述べている。
同氏は開発者に対し、Khronos GroupやoneAPI Community Forumなど、標準規格を作成しているグループに積極的に参加することを勧めているという。
同氏は、「標準規格を見て『あぁ、これは自分たちに合わない』と思ったら、ぜひ参加してほしい。あなたは規格を変えることができる。実際に自分が希望する方向に規格を変更できれば、あなたにとってはるかにうまく機能するものになるはずだ」と訴えた。
「しかし、標準規格を作成したり修正したりすること以上に必要なのは、それらを試すことだ」とRichards氏は述べている。
「SYCLで分かったことは、開発者は『絶対にうまくいかない、うまくいくはずがない』と思ってもその後に試してみる、ということだ。そして、それは実際に機能し、優れたパフォーマンスが得られる。今では、大規模なソフトウェアを実行できるようになった」(同氏)
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