AIアクセラレーターシステムを手掛けるCerebrasが、同システムをベースにしたAIスーパーコンピュータ(スパコン)を構築する。5400万のAIコアと4EFLOPSの演算性能を持つスパコンで、価格は1億米ドルを超えるという。
アラブ首長国連邦アブダビに拠点を置く技術メーカーであるG42とCerebras Systems(以下、Cerebras)は、パートナー提携により、CerebrasのハードウェアをベースとしたAI(人工知能)スーパーコンピュータ「Condor Galaxy」の1号機(Condor Galaxy 1)を、2023年中に米国カリフォルニア州サンタクララ近郊に構築する予定だという。CerebrasのCEO(最高経営責任者)であるAndrew Feldman氏は、米国EE Timesの取材に応じ、「Condor Galaxy 1は、CerebrasのウエハースケールのAIアクセラレーターシステム『CS-2』を64台接続する構成で、その価格は1億米ドルを超える」と述べている。
予定されているCondor Galaxy 1クラスタ全体の半分となる32台のCS-2システムが、既にサンタクララで稼働している。立ち上げに要した期間は、わずか10日間だったという。
クラスタの所有者はG42だが、管理と運営はCerebrasが行う。両社は今後12週間以内に、規模を2倍(64台)に拡大する予定だ。Condor Galaxy 1のフル稼働時には、計5400万個のAIコアと84Tバイトのメモリを提供し、計4EFLOPS(エクサフロップス)のAI演算(FP16)を実行する見込みだ。
戦略的パートナーであるCerebrasとG42は、Condor Galaxy 1に続き、2024年末までに米国内外で64台のCS-2クラスタをさらに8個構築する予定だとしている。これにより、接続されるCS-2システムの数は、2024年末までに計576台に達することになる。
総コストは9億米ドルを超える見込みだ。
Feldman氏は、「G42は、スーパーコンピュータ(スパコン)の構築や管理、運用などに関する専門知識を持っているパートナーを探していた。『大規模な生成AIモデルを実行し、ビッグデータセットの操作やクリーニング、管理を行い、使い勝手が良くフレキシブルで、高速な演算を行えるインフラ』を提供できる企業は、われわれの業界にはそれほど多くない。こうした理由から、G42はCerebrasを選んだ」と述べている。
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