ラピュタロボティクスは自動フォークリフトのデモンストレーションを公開した。仮置き場から垂直搬送機までなどの定点間搬送を自動化するものだ。
ラピュタロボティクスは2023年7月13日、同年4月に発売した自動フォークリフトのデモンストレーションを報道機関に公開した。同製品は三菱ロジスネクストの有人電動フォークリフトに、LiDARなど自動化のためのセンサーやソフトウェアを搭載したもので、倉庫の入荷検品仮置き場から垂直搬送機への搬送など、定点間搬送での使用を想定している。操作はタブレット端末で行う。
デモンストレーションには2台の自動フォークリフトが使用された。1台がパレットと呼ばれる荷台を仮置き場からコンベヤーに運搬し、もう1台がそれを別の仮置き場へ運搬する。同社が現時点で想定する標準的な利用方法の一つだという。
同製品はパレットを形状で認識するため 、プラスチック製や木製など材質を問わず対応可能だという。また、パレットが規定の位置から傾いて置かれていても位置情報を補正するため手作業での置き直しが不要で、ラピュタロボティクスで自動フォークリフト事業責任者を務める有元啓祐氏は「柔軟性が求められる現場に対応できる」と説明する。
日本国内でのフォークリフトの売上台数は年間約8万台だが、そのうち自動フォークリフトは300台未満と1%にも満たない。物流業界の人材不足が叫ばれる中でも自動化が遅れている理由について、有元氏は「柔軟性が求められる現場に自動機を導入することは難しい。また、費用対効果もネックになっている」と説明する。
同社は倉庫内のピッキング作業を支援するロボットで国内トップのシェアを獲得しており、顧客から「ピッキング作業だけでなく、パレットの運搬作業も自動化できないか」と要望があったことから、上記の課題を踏まえ開発したという。
同社の自動フォークリフトで1時間に搬送できるパレットは20〜30枚と、人間の半分程度の枚数だ。有元氏によると「顧客の現場を見せてもらうと、(人間が操作するフォークリフトで) ピークでは1時間に60枚搬送する場合もあるが、常にそれが続くわけではない。平均すると20〜30枚程度のケースが多いとみており、自動フォークリフトが合うマーケットもある」という。
自動フォークリフト導入のハードルとなる費用対効果について、同社では具体的な価格を公表していないものの、5年程度で初期投資を回収できるケースが多いと見込む。コスト削減のため同製品に搭載するセンサーは「10個未満」(有元氏)に抑えたほか、連続で7~8時間稼働でき、人員を確保しにくい夜間の作業にも対応することが理由だという。また、床に磁石を埋め込むなど、ロボットの位置確認用の環境工事は不要だという。
メンテナンスは機体を三菱ロジスネクストが、ソフトウェア面をラピュタロボティクスが担う。現在、棚入れや出庫の業務についても自動化できるよう開発中で、2024年以降に提供予定だという。
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